2018年12月2日のことになりますが、1日だけあさぎり号が小田急で復活しました。
純粋なあさぎり号ではなく、MSEの就役10周年を記念したメトロあさぎり号でしたが、春先の愛称消滅からあまりにも早い復活でした。

そのあさぎり号のルーツですが、御殿場線に直通していたディーゼルカーまでさかのぼります。
御殿場線に直通するため、小田急ではキハ5000形というディーゼルカーを登場させました。
1955年の運行開始に合わせ、この時に銀嶺号と芙蓉号が登場し、これがあさぎり号のルーツとなっています。
この時は1日に2往復の運行となっていました。

1959年には、車両の増備を行い、1日4往復に増強することとなりました。
この時に朝霧号と長尾号が登場し、ここではじめてあさぎりという愛称が出てきます。

その後、1968年にはディーゼルカーから電車へと置き換えることが決定し、改造されたSEがその役目を担うこととなりました。
この時に全列車の愛称があさぎり号に統一され、長くこの時代が続くことになります。

SEの老朽化に伴い、昭和の終わり頃から置き換えの検討が始まったようですが、なかなか調整が進まずSEによるあさぎり号は平成まで続きます。

時は流れ、国鉄がJR東海になり、あさぎり号に大きな変化が起きました。
小田急がRSEを、JR東海が371系を製造し、相互直通運転とすることになったのです。
運転区間も沼津までとなり、あさぎり号にとって最も豪華な時代が始まります。

その後しばらくは安定した時期が続きましたが、旅客数は減少傾向となってしまい、2012年に大きな変化が起こります。
運行区間を再び御殿場までとし、小田急からの片乗り入れに戻すことになりました。
RSEと371系はこのタイミングで撤退し、小田急からはMSEがその役目を担うことになります。

この状態で安定すると思われたあさぎり号ですが、2018年のダイヤ改正で愛称名が変更されることが発表されます。
その愛称名はふじさん号で、外国人の旅行客を意識したものであることは明らかですが、少々残念な展開でした。

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愛称の変更という扱いであったため、あさぎり号は静かに消えていきました。
ダイヤ改正の翌日から、MSEによるふじさん号が走り出し、現在に至ります。

1日限りとはいえ、消滅した年に復活してしまったあさぎり号。
予想以上に早い復活運転となりました。