HiSE以来久々に展望席を備え、2005年に運行を開始した小田急のVSE。
連接構造の復活もあり、ロマンスカーというブランドを強く意識した設計が特徴です。

長い歴史を持つ小田急のロマンスカーですが、そのブランドイメージの原点にあるのはSEでしょう。
鮮やかなカラーリング、連接構造、その後のロマンスカーに繋がるものの多くはここで生まれました。

続いて登場したNSEでは、小田急初となる前面展望構造が採用され、ロマンスカーに展望車というイメージが追加されました。
この流れはLSE、HiSEまで続き、御殿場線直通用として登場したRSEで途切れることとなります。

展望ロマンスカーの元祖であったNSEですが、1990年代の後半になる頃には老朽化が目立つようになります。
置き換え用として登場したのはEXEで、良くも悪くも小田急ロマンスカーのイメージを大きく変えるものでした。

これが吉と出たのか凶と出たのか、単純に考えることはできません。
ただ、箱根への観光輸送、ブランドイメージという観点においては、マイナスとなってしまったことは確かです。

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そこで登場したのがVSEでした。
前面展望構造の復活、乗る楽しみが満載された車内、一般客目線で見ればそのインパクトは絶大だったと思います。

駅で見ていればその変化は明らかで、EXEで記念写真を撮る人はいませんでしたが、VSEの登場以降その光景を多く目にするようになりました。
デザインは好みが分かれるものかもしれませんが、ブランドイメージの復活に大きな貢献をしたことは確かです。

試運転を繰り返すVSEを見ていた時、デザインに関する葛藤はありましたが、そのコンセプトには嬉しいものがありました。
ロマンスカーを撮影する楽しみが増える、それだけで十分でした。

その後登場したロマンスカーも含め、現在の状況を見ればその功績は明らかでしょう。
VSEが果たした役割は、とても大きいものだったように思います。