2002年に登場し、2004年に運行を終了した小田急の湘南急行。
短期間で消滅してしまった種別でしたが、江ノ島線の輸送改善に大きく貢献しました。

湘南急行の貢献度を考えるために、それ以前の江ノ島線を見てみることにしましょう。
それ以前の江ノ島線には、各停、急行、特急の3種別が運転されていました。

江ノ島線の印象といえば、編成が短い、乗る列車を選べない、遅い、そんな路線でした。
どういうことか、一つ一つ説明していきます。

編成が短いというのは、4両で運転する列車が多くあったことです。
急行については6両化されていましたが、各停については4両の列車が多く存在していました。
これは、相模大野での分割併合が行われている都合もあったようですが、当然混雑の原因になっていました。

二つ目の乗る列車を選べないという点については、当時の急行が1時間に2本しか存在しないことによるものです。
予め急行の時間を調べておき、狙って駅に向かわないと、なかなか急行に乗ることはできませんでした。
急行の前を走る各停は途中駅で追いつかれますし、上り列車の場合、前の前を走る各停は相模大野で結局急行と併合するという感じだったので、駅で長時間急行を待つしかないといったパターンがありました。

三つ目はとにかく遅いというもの。
各停は仕方がないとして、停車駅が増加した急行は体感的にも遅く、相模大野での分割併合によるロスもあり、江ノ島線は遅いという印象を強く持っていました。

江ノ島線はあくまでも支線、このような状況が長く続いていました。
そこに登場したのが湘南急行で、完全ではないもののかなりの改善が図られたことになります。

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湘南急行も1時間に2本でしたが、それとは別にもう1本急行が走っていました。
間隔が一定ではありませんでしたが、1時間に3本の優等列車が走ることで、だいぶ利用しやすい路線に変わったのです。
湘南急行は停車駅が少なく、途中駅での分割併合もなくなったことから、かなりのスピードアップが図られました。

こうして江ノ島線の輸送は改善され、現在は主要路線のように快速急行が主力となりました。
それ以前の江ノ島線を思い出すと、現在の状況はまるで夢のように感じてしまいます。