2018年に惜しまれつつ引退した小田急のLSE。
沿線は撮影者で溢れ、普段は静かな小田急線が騒がしくなりました。

小田急を普段から撮っている方は分かると思うのですが、そもそもLSEというのは目立たないロマンスカーでした。
NSEの正統進化で、後輩は派手なHiSE、比較的地味な存在だったのです。

登場した当初は、久々の新型ロマンスカーということで注目される存在だったわけですが、その後新形式が続々登場することで、目立たなくなっていきました。

SE、NSEが引退すると、オリジナルのカラーを残す唯一のロマンスカーとなるはずだったわけですが、そこで決定的なことが起こります。
それはリニューアルに伴う塗装の変更で、HiSEと合わせたカラーリングになり、ますます目立たない存在となりました。
漂う厚化粧感もあり、車種としての人気も下がってしまったように思います。

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そのLSEが返り咲くきっかけとなったのは、2007年に行われた7004Fの旧塗装化でした。
1編成のみながら、久々にLSEに注目が集まりました。

その後しばらくは、1編成のみの旧塗装ばかりが注目される状態が続きましたが、HiSE、RSEが引退すると状況は大きく変わります。
7003Fも旧塗装に変更されたことで、2編成の旧塗装が活躍する状況になり、他のロマンスカーがEXE以降の形式のみとなりました。

そこからの注目度はとても高く、クラシックな雰囲気を残すロマンスカーとしての地位を確立しました。
新塗装のまま、HiSEやRSEよりも先に引退していたら、ここまで注目されることはなかったでしょう。

正統進化という地味な存在になる原因が、結果として長生きをさせることにもなりました。
最後に注目される存在となったのは、長い間脇役だったLSEに対する神様からのご褒美だったのかもしれませんね。