2600形から続いていた裾絞りをやめ、垂直車体を採用して登場した小田急3000形。
非貫通となった前面構造も加わり、従来の小田急通勤車とは大きくイメージが変わりました。

平成に入ってからの小田急といえば、ワイドドア車の導入や、8両固定編成化による運転席部分の削減等、できる限りのラッシュ対策を進めてきました。
ほんの少しでも収容力を増やそうとする姿勢からも、抜本的な対策が複々線化しかないということが見えていました。

その小田急が、収容力で劣る垂直車体を採用した車両を大量増備する方向に舵を切ったのです。
登場当時混雑が解消に向かっていたわけでもなく、従来車からの置き換えで収容力は落ちていきました。

さて、3000形が登場した当時といえば、まだまだ短い区間ではあるものの、徐々に複々線化が済んだ区間が出てきていました。
まだまだ工事が続くことは明らかでしたが、複々線化が完成すれば混雑が解消するという見込みがあり、それが3000形の設計に反映されたのではないでしょうか。

しかし、実際にはそのように上手くはいきませんでした。
4000形も含めた垂直車体の車両と従来車では、体感的にも混雑度がまるで違ったのです。
扉付近に乗客が固まる傾向は明らかで、乗降にも時間がかかっているように思います。

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こうして裾絞りをやめた小田急でしたが、次に導入する5000形では再度採用することになりました。
これは垂直車体の採用が失敗だったと、自ら認めたようなものでもあります。

利用者の立場からすれば、今回の復活は嬉しいものです。
賛否両論がある新形式車両ですが、その登場を楽しみに待ちたいと思います。