鉄道友の会の会員投票によって選出されるブルーリボン賞。
小田急3000形(SE)が登場した際、鉄道ファンの視点から何らかの賞を授与したいということになったのが始まりです。

その後、小田急では新しいロマンスカーが登場する度にブルーリボン賞を受賞し、NSE、LSE、HiSE、RSEと、栄光の歴史を積み重ねてきました。
ロマンスカーが候補車両となっている年は、どうせ小田急だよねという雰囲気が漂う程度には、受賞して当たり前の状態になっていました。

近年においても、VSE、MSE、GSEと受賞してきましたが、SE以降のロマンスカーの中で、唯一ブルーリボン賞を受賞できなかった車両があります。
1996年に営業運転を開始したEXEです。

EXEは1997年の候補車両となり、車両としての得票数ではトップだったようですが、それを該当なしの票が上回ってしまいました。
生方良雄さんが仰っていることとして、外装のデザインや、意図した用途と実際の運用の不一致が挙げられています。

前者については、間違いないところでしょう。
好き嫌いは当然あるでしょうし、用途に合わせたデザインという意味では、似合っているものだと思います。
しかし、展望席と連接構造の廃止、そしてそれまでの流れを完全に断ち切るデザインは、鉄道ファンにはあまりにもマイナスの印象を与えてしまいました。

そして、本来は途中駅停車の列車に使用することを想定していたはずが、スーパーはこね号等にも積極的に使用されてしまいました。
車両自体の総合的なデザインと使われ方の不一致によって、外装のデザインがさらに悪目立ちしてしまったように思います。

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該当なしを選んだ会員が多かったという事実が、EXEに対する反発の大きさを物語っています。
登場から数年後、本来の用途を中心として使われるようになってから、EXEの評価は良くなっていったように感じています。
普段の利用で乗車する車両としては、落ち着いたデザインでとても快適な車両だからでしょう。

鉄道車両の設計においては、総合的なデザインが大切だと学んだ小田急は、VSEで見事にブルーリボン賞に返り咲きました。
EXEは少しかわいそうな車両となってしまいましたが、その失敗は確実に次世代のロマンスカーに活かされたのです。