10両の列車の登場や、東京メトロ千代田線との直通運転も行われるようになったことで、近年は話題が多い小田急小田原線の各駅停車。
最近は1時間に6本程度が運転されており、近距離の輸送を担っています。

小田急小田原線の各駅停車は、主に新宿から本厚木の区間で運転されています。
ラッシュ時には色々な行先を見ることができますが、新宿行きと本厚木行きのイメージが強いといえるでしょう。

しかし、以前は状況が少し異なり、もう一つ頻繁に見られる行先がありました。
それが今回ご紹介する向ヶ丘遊園行きです。

一昔前の小田急は、多摩川を渡ると一気に人口密度が下がっていました。
緑が多く残っており、田畑も多く見られ、高い建物も多くありませんでした。
そのため、今のように多くの優等列車が走る必要はなく、その分都心部の本数を多くしていました。

その役割を担っていたのが、新宿から向ヶ丘遊園の区間を走る各停です。
1990年の時刻表を見てみると、その本数は1時間に6本程度あり、かなり主力の列車だったことが分かります。

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ちなみに、こんなに向ヶ丘遊園行きがあると、その先まで走る各停が相当少なかったと想像してしまいますが、そんなことはありません。
この当時は1時間に10本もの各停が走っていたので、そもそもの本数が多かったのです。

しかし、そうなると向ヶ丘遊園から先は1時間に4本しか各停がないことになってしまいます。
そこを埋めていたのが1時間に2本あった準急で、合わせて1時間に6本程度となっていたということです。

現在の状況からは想像ができないぐらい、多摩川を境にして輸送力に差があった小田急。
30年間で、沿線の風景が激変したことも見えてきますね。