晩年は旧塗装に戻され、最後まで第一線で活躍した小田急7000形。
2018年に多くのファンに惜しまれつつ引退し、長年の活躍に幕を下ろしました。

旧塗装が2007年に復活して以降、懐かしい姿で注目を浴びたLSEですが、その直前まではどちらかといえば地味なロマンスカーで、決して目立つ存在ではありませんでした。

1980年に営業運転を開始したLSEは、NSE以来約18年ぶりのロマンスカーとして、大注目の中登場しました。
SEとNSEしか在籍していなかった当時において、登場のインパクトは相当なものだったのでしょう。
一方で、電気指令式ブレーキの初採用等はありましたが、NSEを正統進化させた部分が多く、車両としてはオーソドックスにまとめられています。

LSEにとって残念だったのは、新型車両でいられた期間が短かったという点です。
1987年にHiSEが登場しましたが、こちらはハイデッカーの採用や塗装デザインの大胆な変更が行われ、かなりの存在感がありました。
NSEとイメージが近かったLSEは、この時点でNSEと同列の存在となってしまい、一気に目立たないロマンスカーとなってしまいます。

そのイメージに変化があったのは、1996年に登場したリニューアル車です。
HiSEに準じた塗装デザインに改められたことで、古くさいイメージを払拭したのです。
しかし、一方では若干無理があったと思う部分もあり、古い車両が厚化粧をしているような印象もありました。

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こうしてHiSE風のロマンスカーとなったLSEですが、バリアフリー化という流れの中で、徐々に風向きが変わっていきます。
ハイデッカーがバリアフリー化の障害となり、後輩であるHiSEとRSEが徐々に問題児となってきてしまったのです。

そして、これらの2形式は早期に廃車とする方針になり、2005年にはHiSEの廃車が発生しました。
2012年にはHiSEとRSEの営業運転が終了し、LSEは最も古いロマンスカーでありながら一部の編成が残ることとなったのです。

こうして2編成が残ることになったLSEですが、この段階で旧塗装への統一が行われました。
HiSEが存在しなくなったことで、HiSEに準じた塗装である必要性はなくなり、好評な旧塗装に統一することにしたのでしょう。

懐かしい姿のロマンスカーとして、ここからが晩年の大活躍となります。
展望席を設けたロマンスカーの総数が減ったことで、その存在価値も高まりました。

脇役の時期が長く続いたLSEは、最後に最高の花道を飾ることとなったのです。
オーソドックスにまとめられたことが、最終的にはプラスに働いたのでしょうね。