経済性を重視し、6両でのMTを同数とした小田急2600形。
しかし、粘着限界に近い性能だったことが災いし、乗務員は引退のその日まで空転に悩まされる車両でした。

元々は3M2Tの5両で登場した2600形は、3両の電動車に2台の制御器を持ち、両端の電動車それぞれから、中間に位置する電動車の隣接する主電動機を制御する方式が採用されました。
この1C6Mという独特な方式は、1M方式では電気制動の範囲が縮小するという問題を回避するための、苦肉の策でした。

登場からしばらくして、本来の姿である6両となった2600形でしたが、その際に増備された中間付随車は将来的な電動車化を考慮した台車を履いて登場、3M3Tの編成となったのです。
こうして、3両で2ユニットとして、電動車化を考慮した中間車を含むへんてこな編成ができあがりました。

こうして活躍を始めた2600形ですが、電動車化を考慮していた付随車がその後どうなったのかというと、結局一部を除いて電動車化されることはありませんでした。
電動車化する際には、2両で1ユニットの1C8Mにする想定だったと思われますが、結局そのまま使われ続けてしまったのです。
空転が多発するような状態だったことを考えると、4M2Tの6両が最終的に想定されていた姿だったのかもしれません。

20200905_06

電動車化はせずに使われた2600形は、晩年に8両への組み替えが行われていますが、その際は6M2Tとされています。
これは電動車を3両単位にしなければいけない事情があったためと考えられ、強力な編成が組まれることとなりました。
同時に、余った付随車を集め、電装した8両編成が1本だけ組まれましたが、元々の台車は使われず、一部の部品を流用して台車が新製されています。

2600形が4M2T化されていたら、どのような走りを見せてくれたのでしょうか。
考慮していたことが活用されないままとなるのは、小田急らしい事例だったといえますね。