小田急の車両の台車といえば、アルストムリンク式というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
通勤型車両では1000形、ロマンスカーでは20000形まで採用されたこの台車は、小田急の車両を象徴するアイテムの一つでした。

そして、小田急の台車といえば、もう一つ特徴がありました。
マニアックな部分となりますが、今回はそんな小田急の台車の秘密を覗いてみたいと思います。

小田急の台車に見られた特徴とは

乗客数の急増により、短期間に大量の車両を増備する必要に迫られた小田急では、経済性を重視した2400形を1959年に登場させました。
小田急の高性能車としては、初めて電動車と付随車の比率を同じとした車両で、先頭車と中間車の長さが違うという特徴があります。

そして、2400形では軽量化を図るため、電動台車と付随台車が別設計のものとなり、前者の軸距が2,200mm、車輪径が910mm、後者は軸距が2,000mm、車輪径が762mmとなりました。
このように、軸距を変えて付随台車の軽量化を図る考え方は、ロマンスカーのSEから始まったもので、2400形では寸法や構造、車輪径も変えて一層の軽量化を図ったのです。

車輪径が電動台車と付随台車で異なっていた形式

このような台車は、一時期の小田急で多く見られました。
該当した形式としては、2400形、3100形、2600形、5000形で、9000形は標準的な仕様になったものの、5000形は最終増備車まで車輪径が異なる台車を用いています。
4000形だけが例外となっており、この形式の特殊性が表れているといえるでしょう。

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車輪の大きさの違いは肉眼でも分かるほどで、付随車の台車を見ると小振りな車輪がかえって目立っていました。
通過する際の走行音にも影響していたようで、通過時には電動車と付随車で若干音が変化していました。

おわりに

ロマンスカーでは7000形、通勤型車両では8000形から一部の例外を除き車輪径が統一されるようになりました。
5000形が2012年に引退したことで、軽量化のために車輪径が異なる小田急の車両は消滅し、一時期の伝統を感じることはできなくなっています。

しかしながら、現在も2600形の先頭車が保存されており、小振りな車輪を見ることができます。
保存車を見る機会があれば、目線を少し下げてみるのも面白いかもしれませんね。