2016年3月26日のダイヤ改正から始まった、JR東日本の常磐緩行線と小田急線の相互直通運転。
東京メトロ千代田線を介して、E233系2000番台が小田急に顔を出すようになりました。

相互直通運転の開始前には入念な試運転が行われ、小田急ファンはその撮影に奔走することとなりましたが、撮影にはこの車両特有の大変さがありました。

編成によって異なるLED表示が写るシャッター速度

近年の撮影で気にしなければいけないこととして、LEDの表示を綺麗に写すという点があります。
シャッター速度を上げると表示が切れてしまうため、バランスを考えて低く設定するというテクニックですが、この許容値が形式や編成によって異なるため、撮影の難易度を上げているのです。

状況や撮影場所によっては、諦めてシャッター速度を上げる必要がある場面もありますが、それが許されないのが試運転の撮影です。
試運転という表示を写す必要があるため、撮影する車両によっては必然的に低速でシャッターを切る必要が生じます。

小田急に乗り入れるE233系2000番台は、編成によって許容されるシャッター速度が異なるという厄介な存在で、各編成の許容値は以下のとおりとなっています。

マト1:1/400
マト2:1/400
マト3:1/125
マト4:1/400
マト5:1/125
マト6:1/400
マト7:1/125
マト8:1/400
マト9:1/125
マト10:1/400
マト11:1/125
マト12:1/400
マト13:1/125
マト14:1/400
マト15:1/125
マト16:1/400
マト17:1/125
マト18:1/400
マト19:1/400

このようになっており、奇数の編成は切れやすく、偶数の編成は切れにくく、最初と最後の編成は奇数だけど切れにくいと覚えるのが分かりやすいです。
ちなみに、乗り入れ開始前の試運転が行われていた頃は、まだマト19編成は登場していませんでした。

奇数の編成ばかりを撮ることになった試運転

2015年6月18日の夜中、E233系2000番台が小田急に初入線しました。
記念すべき大役はマト11編成が務め、最初から奇数の編成となりましたが、夜中なのでシャッター速度は問題になりませんでした。

その後、様々な試運転が小田急線内で行われることとなりますが、充当される編成がどれになるかという問題が撮影者を悩ませます。
シャッター速度を下げる必要がある奇数の編成が来た場合、撮影地によってはまともに撮ることができないためです。
結果として、どちらが来ても大丈夫な場所を選択する必要が生じてしまいます。

やがてお馴染みの多摩線内での試運転となりますが、これは事前に充当される編成が分かっている分、対応しやすい状況でした。
しかし、私が撮影できるタイミングは奇数の編成が充当されることが多く、毎回苦労することとなりました。

20201128_04

この写真のように、背景を多少流しつつ車両を止める必要がありました。
多摩線は低速でシャッターを切るのに向いている撮影地が少ないため、どうしてもこのような写真を撮る必要が生じてしまうのです。

おわりに

複々線化完成後のダイヤ改正以降は、E233系2000番台が多摩線に来る機会はほとんどなくなってしまいました。
多摩線内で試運転を追いかけた日々からもう5年、時の流れは速いものですね。