2021年春のオープンが予定されている、小田急のロマンスカーミュージアム。
11月30日のニュースリリースで、4月中旬のオープンが予定されていることや、コンテンツの概要が発表されました。

今回は、ロマンスカーミュージアムの目玉コンテンツとなる展示車両について、1形式ずつご紹介したいと思います。

1100形(モハ1)

小田急が開業時に導入した車両のうちの1両で、1形として18両が製造されました。
当時としては近代的な車両で、戦前から戦後にかけての輸送を支えましたが、荷物電車に改造された車両を除いて1960年に全車が引退しました。

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小田急での廃車後は、熊本電気鉄道と日立電鉄に譲渡され、余生を送りました。
展示されるのは、熊本電気鉄道で廃車となった後に里帰りをした車両で、小田急で開業当時の姿に復元工事が行われています。

3000形(SE)

ロマンスカーの基礎を築いた画期的な車両で、名車として日本の鉄道史においては欠かすことのできない存在です。
登場当初は8両編成で、新宿から小田原を60分で結ぶことを目標とし、当時としては軽量で高性能な車両となっています。
後に国鉄の御殿場線に乗り入れるために5両化され、晩年はあさぎり号を中心に活躍、1992年に全車が引退しました。

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引退後は3021Fの編成が5両のまま保存され、新宿方の先頭部を登場時の姿に復元し、2両は塗装も変更されていました。
ロマンスカーミュージアムでの展示にあたっては、中間車の2両を解体して3両とし、各部の修繕が行われています。

3100形(NSE)

小田急で初めて前面展望席を設けた車両で、ロマンスカーといえば展望席というイメージを決定付けた車両です。
11両編成の連接車となっており、低重心で優美な姿が特徴です。
晩年も主力車両として活躍しましたが、2000年にゆめ70へと改造された最後の編成が引退し、小田急線上から姿を消しました。

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引退後は3221Fが11両のまま保存されましたが、後に5両を解体して6両となり、ロマンスカーミュージアムでの展示にあたってはさらに3両を解体、残った3両が展示されます。
2両が残る先頭車のうち、片方は展示前の整備で前面の愛称表示器が登場時の形状に復元されています。

7000形(LSE)

NSEを正統進化させた車両として、1980年に登場しました。
デザインや性能は時代に合わせて一新されていますが、塗装を含めた基本的な部分はNSEから受け継いでいます。
最後まで観光輸送の主力として活躍しましたが、2018年に惜しまれつつ全車が引退しました。

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引退後は7003Fのデハ7003のみが保存され、この車両がロマンスカーミュージアムに展示されます。

10000形(HiSE)

小田急の開業60周年を記念して1987年に登場したロマンスカーで、前面展望席を設けた11両という基本は維持しつつも、カラーリングを大胆に変更しました。
ハイデッカーが採用されたことが最大の特徴で、客席が高い位置にあります。
このハイデッカーがバリアフリー化の障害となったため、先輩のLSEよりも先の2012年に全車が引退しました。

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引退後は最終的に10001Fのデハ10001のみが保存されており、この車両がロマンスカーミュージアムに展示されます。
一部の車両は長野電鉄に譲渡されており、現在も走行する姿を見ることができます。

20000形(RSE)

JR東海の御殿場線と相互直通運転を行うため、1990年に登場したロマンスカーです。
前面展望席がない一般的なボギー車となっていますが、HiSEに続いてハイデッカーを採用し、中間に2両のダブルデッカー車を組み込みました。
HiSEと同様、バリアフリー化への対応が困難だったことから、2012年に全車が引退しました。

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引退後は20001Fの2両が最終的に残り、先頭車のデハ20001と、ダブルデッカーの中間車であるサハ20151がロマンスカーミュージアムに展示されます。
20002Fについても、一部の車両が富士急行に譲渡されており、現在もフジサン特急として活躍中です。

おわりに

ロマンスカーを中心として、11両もの車両が展示されるロマンスカーミュージアム。
2021年の春が待ち遠しいですね。