リニューアルの対象から外され、既に1751Fが廃車となった小田急1000形のワイドドア車。
側面の大きな扉が目立つ車両ですが、通常の1000形とは他にも色々と異なる部分があります。

搭載している機器の種類や位置に違いがあり、ワイドドアの採用によって自重が増加してしています。
今回はワイドドア車が通常の1000形と異なる部分について、見た目からは分からない部分を中心に見ていきたいと思います。

搭載している機器や位置の違い

ワイドドア車は、側扉の幅が広いこと以外にも、通常の1000形と異なる部分があります。
今回は見た目で分かる部分は省略し、それ以外の違いを見てみましょう。

まずは、車体に関する違いです。
前面のデザインや、車体の基本的な寸法は通常の1000形を踏襲していますが、台枠の補強や側板の接合方法が変更されています。
そして、開閉できる窓の面積が少なくなったことから、妻窓も開閉可能となっていることが特徴です。

搭載している機器についても変更が行われ、冷房装置の能力が11,500kcal/hから12,500kcal/hとされたことで、1両あたり4,000kcal/hの増強となっています。
これは扉の開口幅が広くなることで、冷気が外に逃げやすくなることへの対策でしょう。

それ以外にも、台車の仕様が一部異なっていることや、補助電源装置が搭載されている車両が、電動車から制御車と付随車に変更されています。

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ワイドドアを採用するための変更は多くあり、見た目以上に色々な部分に影響があったことが分かります。

ワイドドアの採用に伴う自重の増加

側扉を大きくしたことによって、ワイドドア車では自重も増加しました。
補助電源装置を搭載する車両が異なっていることから、1両単位で比較をする意味があまりないため、6両の編成重量で見てみましょう。

1000形(1251F~1256F):200.9t
1000形(1751F・1752F):214.1t
1000形(1753F~1754F):216.7t
3000形(3264F・3266F~3277F):182.8t

結果はご覧のとおりとなっており、通常の1000形よりもかなり重くなっています。
参考として3000形の編成重量も併記しましたが、相当な差があることが分かります。
リニューアルの対象外とされた理由が、この重さからも伝わってきますね。

おわりに

ラッシュ時の切り札として導入されたワイドドア車は、想定していたような力をあまり発揮できませんでしたが、改造を繰り返すことで今日まで走ってきました。
いよいよ最終章に入りつつありますが、その最後の活躍を見守りたいと思います。