小田急、JR東日本、江ノ電の3路線が乗り入れ、神奈川県藤沢市の玄関口となっている藤沢駅。
駅舎の改良工事が行われると以前から発表されていましたが、2023年度から小田急の工事が始まるとの報道がありました。

改良工事によって藤沢駅はどのように変わるのでしょうか。

問題だらけの藤沢駅

江ノ島線の開業と同時に設置された藤沢は、改良を重ねながら今日まで営業を続けてきました。
終点の片瀬江ノ島に向けて、江ノ電と並行することを避けるために、スイッチバックをしていることが最大の特徴となっています。
列車の運行頻度が高くなり、折り返しに時間を要するという問題があることから、藤沢から先には行かずに折り返す列車も多く設定されています。

列車の長編成化が進められる過程で、元々狭かった土地の範囲内で拡張が繰り返されたため、駅舎やホーム自体にも多数の課題を抱えています。
相模大野方は急勾配で東海道本線を跨いでおり、位置を動かすことも容易ではありません。

1番ホームが10両の停車に対応するものの、それ以外は7両分の長さしかないため、運用上も制限があります。
必然的に快速急行は1番ホームを発着することとなりますが、上下の列車が混在する状態となってしまっており、旅客案内上分かりやすいとはいえません。
ホームと並行する道路は、相模大野方で線路の方向に寄ってきており、この部分はホームの幅が狭くなっています。

20190706_02

狭くなっている相模大野方には、東海道本線との乗り換え専用の跨線橋があるものの、広くはない階段もあります。
また、駅を出る乗客と乗り換える乗客が交錯する状況があり、改良工事が行われることとなりました。

小田急の藤沢駅はどのように変わるのか

改良工事の詳細は発表されていないものの、小田急の鉄道事業設備投資計画には、大規模改良工事の際にホームドアの整備を計画しているとの記述があります。
このことからもそれなりの規模になることが予測できますが、どの程度の内容になるのでしょうか。

まず確実に行われることが、橋上駅舎化と自由通路の拡幅です。
改札口はJR東日本と面した側に設置され、ホームの上に広いコンコースを配置、現在の跨線橋も含めてコンコースとなるように思われます。

導線が分離しない構造になることから、乗客は車両の近くにある階段を利用してコンコースへと上がり、駅から出るかそのまま乗り換えるということになるのでしょう。
これによってホーム上を多数の乗客が行き交う状況は改善しそうですが、1階の改札も一部を残すことになるようで、多少の交錯は残るものと思われます。
エスカレーターやエレベーターは間違いなく設置されるでしょうし、利便性は格段に向上するといえます。

気になるのは、この改良工事に合わせてホームの改良が行われるのかという点です。
幅自体を広げることは難しそうですが、乗り換え用の跨線橋がなくなれば、相模大野方の狭い階段は撤去されそうですから、これによってホームドアを設置するスペースを確保するのかもしれません。
現在はホームの端にあるトイレは、橋上駅舎内へと移りそうです。

そして、最も気になるのはホームを10両分に延長するのかということです。
線路の配線を見直せば、2番ホームぐらいは10両の停車に対応させられそうですが、それ以外は土地の関係でそのままでは難しそうです。
3番と4番のホームを延長するのは難しそうですから、対応させるとしても2番ホームぐらいになりそうな気がします。

おわりに

ついに動き始めることとなる藤沢駅の大規模改良工事。
また一つ、昔ながらの小田急の雰囲気を残す駅がなくなり、近代的で便利な駅へと生まれ変わることとなります。