通過線や留置線を備え、小田急の中では特徴的な部分が多い経堂駅。
2022年3月12日のダイヤ変更以降は、終日に渡って急行が停車するようになりましたが、少しずつ役割や性格が変化してきた駅でもあります。

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現在は高架駅となり、急行の停車で大きく利便性が向上した経堂は、今までにどのような歴史を歩んできたのでしょうか。

工場や検車区が併設されていた経堂駅

経堂は1927年4月1日の小田急小田原線開業に合わせて設置された駅で、開業当時から現在と同じ駅名とされました。
他の駅とは異なる特徴として、開業時から経堂には車庫や車両工場が設けられており、当初は経堂車庫、後に経堂工場と呼ばれるようになりました。

1950年には経堂検車区が発足し、役割分担がされるようになりますが、大野工場の新設に伴い1962年10月に経堂工場は廃止されてしまいます。
この時点で工場はなくなりましたが、経堂検車区はそのまま残されており、新宿寄りを中心に沢山の車両が並ぶ光景が見られました。

開業からの長きに渡り、経堂は現業の中枢として機能した場所で、入出庫を兼ねた経堂行きも見ることができました。
最も都心寄りにある車両基地が隣接する駅として、経堂は重要な役割を担っていたのです。

複々線化に伴う役割や性格の変化

現業の中枢として重要な役割を担っていた経堂ですが、停車する優等列車の設定がややこしいというのが常でした。
下北沢と成城学園前の中間にあるという事情からか、両数や時間帯によって停車する列車種別が異なるという、とてもややこしい状態が長く続いたのです。

経堂における、優等列車の停車パターンは複雑な変化をしていますが、多くの方が覚えていることといえば、準急は停車するが急行は通過する、このパターンではないでしょうか。
しかし、準急も全ての列車が停車していたわけではなく、朝のラッシュ時や千代田線に直通運転を行う列車は通過でした。
前者については、停車すると乗客が集中してしまうという事情もありましたが、後者は経堂のホームが10両分の長さまでなかったことが影響しており、通過させるしかないという事情もありました。

複々線化で駅が高架化されたことで、経堂には10両編成の列車も停車をすることが可能となり、千代田線に直通運転を行う列車も停車するようになりますが、朝のラッシュ時は引き続き上り列車の通過が続きます。
施設の面でも大きな変化があり、複々線化のために用地が必要となったことから、経堂検車区は喜多見検車区へとその役目を譲り、開業時からの車庫のイメージは過去のものとなりました。

そんな経堂に大きな変化があったのは、2004年に急行が停車するようになったことでした。
これは快速急行が設定され、特急以外で最上位となる種別が変化したためで、経堂にとっては嬉しいことではあったものの、やはり曜日や時間帯によっては通過するパターンが採用されており、すんなりとはいかない経堂の苦しい立ち位置が続きました。

その後は少しずつ停車する列車が増え、2022年3月12日のダイヤ変更以降は、ついに急行の全列車が停車することとなりました。
少しずつ役割を変化させてきた経堂は、ようやく通常の急行停車駅としての役割になったのかもしれませんね。

おわりに

開業から今日まで、役割や性格を変化させ続けてきた経堂駅。
通常の急行停車駅となり、ようやく落ち着いた時代に入ることができそうです。