昔は事業用車として電気機関車が在籍していた小田急ですが、1990年代に整理が進められた結果、現在は1両も在籍していない状況となりました。
しかし、新車を搬入する際には牽引をする必要があり、電気機関車の廃車後は営業用の車両がその役割を担うようになっています。

現在は1000形が牽引車として使用されていますが、今後はどのようになると考えられるのでしょうか。

9000形と1000形が担ってきた牽引車としての役目

小田急から電気機関車が消えた後、その役目を担うことになったのは9000形でした。
抜擢されたのは4両の編成で、全ての車両が電動車であるという点が幸いしたといえます。

牽引車として使用されるケースは主に三つあり、一つ目が新車を搬入する場合、二つ目が更新等を行うために車両をメーカーに搬出する場合、三つ目が保存車両を回送する場合です。
いずれの場合も深夜に行われるため、簡単には見ることができません。

9000形の引退後はこの役目を1000形が担うようになりますが、地下鉄へ乗り入れるためにモーターの出力が大きいことや、短い編成が多数在籍していることが抜擢の理由だと思われます。
使用されてきたのは未更新車のみで、牽引する際には4両、6両、8両の様々なパターンが見られました。

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ロマンスカーミュージアムに収蔵されたことで、今後保存車両を回送するケースはほぼないと思われますが、新車の搬入や車両メーカーへの搬出には牽引車が必要となります。
以前にも考えてみたことがありますが、1000形の未更新車が僅かとなったことで、三代目の牽引車が誕生する時が近くなってきたように思います。

気になる三代目の牽引車

僅かに残る1000形の未更新車が今後どうなるのかは分かりませんが、少なくとも未更新のまま走り続けることはないでしょう。
その点を踏まえると、三代目の牽引車に抜擢される車両が、遅かれ早かれ誕生するものと思われます。

一方で、誘導障害の試験が終了している形式については、小田急線内を自走で回送することが基本となりつつあり、車両を牽引するケース自体は以前よりも少なくなっています。
自走させるケースが今後はより一層多くなると思われますが、全てをそうすることは難しく、牽引が必要な機会自体は発生するとみられます。

現時点で可能性が高い車両としては、1000形の更新車が考えられます。
性能の面ではどの形式でも大差がない状況となりつつありますが、4両があることで柔軟性が高く、2編成を繋いだ8両も実現できます。
また、前面がカーブを描いており、中央に貫通扉もあるため、連結時の作業はしやすそうです。

3000形も両数のバリエーションはありますが、前面が切妻に近い非貫通という違いがあり、作業の面では1000形よりもやりにくいと思われます。
4000形や5000形は10両固定編成であるため、これも使い勝手の面では劣りそうです。

しばらくは牽引の機会がなさそうにも思われますが、次に牽引が必要となる際には1000形の未更新車がいない可能性が高く、新しいパターンが見られるのかもしれませんね。

おわりに

趣味的な観点で考えれば、名鉄のように電気機関車が在籍していると面白いのですが、小田急の現状を考えると難しいのでしょう。
新しい牽引のパターンが見られるのはいつの日か、今はその時が訪れるのを静かに待ちたいと思います。