定期運行を終了した50000形を加えると、現在は4形式が活躍している小田急のロマンスカー。
それぞれの車両には愛称が設定されており、鉄道ファンや利用者に親しまれています。

設定されている愛称にはきちんとした背景がありますが、どのような意味が込められているのでしょうか。

30000形の愛称に込められた意味

現役のロマンスカーでは最古参となる30000形には、EXEとEXEαという二種類の愛称が設定されています。
前者は未更新の車両に設定された元々の愛称で、後者はリニューアルが済んだ車両に設定されているものです。

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元々の愛称であるEXEは「Excellent Express」の略で、それぞれの頭文字を用いたものです。
愛称には素敵で優秀な特急列車という意味が込められていますが、愛称が設定されたロマンスカーの中では唯一SEが含まれておらず、異色の存在となっています。
EXEは車体に愛称が表記された最初の車両で、その後に登場した車両にも引き継がれました。

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リニューアルが済んだ車両は、愛称がEXEαへと変更されました。
SEがSSEと呼ばれたのは俗称に近いものだったのに対して、公式に愛称が変更された初めてのケースとなっています。
αが加えられた意味は、EXEにプラスアルファの要素を加えたというもので、岡部憲明氏のデザインにより、現代で求められる水準にレベルアップした車両となりました。

50000形以降の愛称に込められた意味

続いては、岡部憲明氏がデザインするようになったロマンスカーについて、それぞれの愛称の意味を見ていきたいと思います。

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惜しまれつつ定期運行を終了した50000形の愛称はVSEで、「Vault Super Express」の略となっています。
Vaultにはアーチ形の天井といった意味があり、VSEの特徴である高く丸みのある天井が、愛称として採用されました。
外見に注目が集まる車両ですが、車内に入って天井を目にすると、愛称の由来となるのもうなずけるだけのインパクトがあります。

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見たイメージがVSEでは愛称に採用されましたが、使い方という抽象的な意味を込めたのが60000形です。
愛称のMSEは、「Multi Super Express」の略であり、ビジネスと観光の両方で使用可能な、多彩な輸送ニーズに対応できる、マルチな車両として名付けられました。
登場後は愛称のとおりマルチな活躍をしており、小田急線内だけではなく、箱根登山線、東京メトロの千代田線、JR東海の御殿場線にも乗り入れています。

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最後にご紹介する70000形の愛称はGSEで、「Graceful Super Express」の略となっています。
Gracefulには優雅なという意味があり、車両が持つ優雅なイメージが愛称として採用されました。
全体的に大きな窓が採用されているのが特徴で、走り抜ける際にはその場の空気が変わるような感覚があり、優雅な車両というのが言いすぎてはないことを実感します。

おわりに

それぞれの愛称にはきちんとした意味があり、車両のイメージともマッチしていることが分かります。
引退したロマンスカーの愛称についても、別の機会にご紹介できればと思います。