観光輸送から日常利用へのシフトが進み、近年は前面展望席を備える車両が減りつつある小田急のロマンスカー。
2022年3月12日のダイヤ変更で50000形(VSE)が定期運行を終了したことで、ロマンスカーの編成数自体も少なくなりました。

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活躍するロマンスカーは3形式となり、以前よりも寂しい状態となってしまいましたが、昔と今を比べた場合、在籍本数はどれぐらい異なるのでしょうか。

昔と今で異なるロマンスカーの在籍本数

VSEが定期運行を終了したことで、実質的なロマンスカーの在籍本数は少なくなりました。
車籍は残っているものの、臨時列車のみで使用されている状態であり、VSEは既にロマンスカーのラインナップからも消えています。

形式数が減り、在籍本数自体もかなり少なくなった印象のロマンスカーですが、実際のところはどうなのでしょうか。
ロマンスカーのラインナップが安定していた1990年代と、今の状況を比較してみることにしましょう。

昔と今の在籍本数は以下のとおりとなりますが、30000形と60000形については4両が付属編成に近い存在であるため、カウントから外しています。

【昔】
3100形(NSE):7本
7000形(LSE):4本
10000形(HiSE):4本
20000形(RSE):2本
合計:17本

【今】
30000形(EXE):2本
30000形(EXEα):5本
60000形(MSE):5本
70000形(GSE):2本
合計:14本

比較してみると分かるとおり、その差は3本となります。
VSEを加えれば16本となり、そこまでの違いはないということにもなりますが、昔はJR東海の371系も走っていたため、18本だったともいえるかもしれません。

昔と今に見る輸送力の差

本数が減少したことは分かったものの、輸送力の面ではどうなっているのでしょうか。
今は20m車の10両編成が走っており、1列車あたりが長くなっています。
1両あたりの長さが異なるため、20m車に置き換えた場合の両数で、昔と今を比較してみることにしましょう。

昔と今の両数を、20m車として数えた場合の結果は以下のとおりです。

【昔】
3100形(NSE):49両
7000形(LSE):28両
10000形(HiSE):28両
20000形(RSE):14両
合計:119両

【今】
30000形(EXE):20両
30000形(EXEα):50両
60000形(MSE):42両
70000形(GSE):14両
合計:126両

やはりというか、逆転現象が発生しました。
先頭車の数が違うといった面や、ダブルデッカーの有無等はありますが、両数の面では今のほうが多いといえそうです。

編成定員で比較した場合にはどうなるのでしょうか。
各形式の編成定員を足し上げると、以下のようになります。

【昔】
3100形(NSE):3,192名
7000形(LSE):1,824名
10000形(HiSE):1,728名
20000形(RSE):804名
合計:7,548名

【今】
30000形(EXE):1,156名
30000形(EXEα):2,890名
60000形(MSE):2,438名
70000形(GSE):800名
合計:7,284名

EXEの編成定員は588名ですが、現在はEXEαに合わせて使われていない座席があるため、その分は含めずに計算しました。
座席数では昔のほうが多く、輸送力の面では僅かに減っているといえそうです。

相模大野で分割併合を行い、4両だけで江ノ島線に行けることを考えると、今のほうが柔軟性が高くなりました。
昔のラインナップも魅力的ではありますが、時代に合わせた変化といえるのかもしれませんね。

おわりに

新型コロナウイルス感染症をきっかけに、小田急の利用動向は大きく変化しました。
地下鉄線内を走るといった運用範囲の拡大はあるものの、輸送力自体は大きく変わらない水準となっているようです。