2022年3月12日のダイヤ変更以降、日中に東京メトロの千代田線と直通運転をする列車は急行に変更されました。
それまでの準急から格上げされた状態となっていますが、運転区間は向ヶ丘遊園までとなっており、準急の頃と変わっていません。

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実際に走っている列車を見てみると、課題がないとはいえない状況となっていますが、何か改善できることはないのでしょうか。

運転区間が短い急行の誕生

新型コロナウイルス感染症は人々の生活様式に影響を及ぼし、鉄道の利用動向には大きな変化が起こりました。
小田急においてもそれは例外ではなく、2022年3月12日のダイヤ変更においては、多くの区間で減便や両数の変更が発生することとなりました。

複々線が完成した後の小田急では、快速急行を優等列車の中心に据え、それを補完する列車として急行の運転が行われてきました。
ダイヤ変更後は新宿と新松田を結んでいた急行をなくし、都心側は千代田線と直通運転を行う準急を急行に格上げ、小田原寄りは町田から発着する6両の急行を運転するようになっています。

日中は準急ばかりだった千代田線との乗り入れですが、ダイヤ変更後は急行で運転される姿が多く見られるようになり、趣味的には面白い状況となりました。
しかし、準急の時から混んでいるとはいえない列車が多かった状況は、急行化によってさらに目立つようになった印象もあります。

様々な事情が絡んでいることは理解しており、その状況に対して否定的な感情はないのですが、せっかくの列車がもったいないと感じるのが正直な気持ちです。
何らかの変更を加えることで、改善できる余地はないのでしょうか。

千代田線と直通運転をする列車の改善策

千代田線と直通運転を行う急行に乗車すると、向ヶ丘遊園寄りになるほど、車内が空いていることを実感します。
代々木上原の時点でもそこまで混んでいる印象はありませんが、運転区間が短いこともあり、どうしても空いている区間が目立ってしまうのです。

運転区間の縮小は、快速急行との関係にも変化を生じさせています。
向ヶ丘遊園を発着するタイミングの関係で、上りは快速急行を補完する列車になりにくく、向ヶ丘遊園より小田原寄りの利用者にとって、使える列車になっていません。
急行は各駅停車との接続も悪いため、このタイミングはどうしても快速急行に乗客が集中してしまい、多摩線も含めた利用者が快速急行に流れてしまっているのです。

さらに、急行化によって都心寄りの区間でも影響が出ています。
準急がなくなったことで、その受け皿として各駅停車が混雑するようになっており、アンバランスな状態が発生するようになりました。
これは準急の時代からの課題ではありますが、優等列車としては運転区間が短く、乗客を拾いにくいのでしょう。

この急行の役割は、快速急行が停車しない主要駅の利用者を救済することですが、それ以外の区間では乗る列車の選択肢になりにくく、やはり新百合ヶ丘までの運転はしたほうがよいと考えます。
急行ではなく準急に戻すことも有効と考えており、そうすればアンバランスな状況の改善にも寄与できそうです。
所要時間は長くなりますが、着席の機会があれば利用価値は大きく高まります。

各駅停車の半数を向ヶ丘遊園での折り返しとし、準急を本厚木まで運転する方法も考えられます。
新百合ヶ丘から多摩線に直通運転し、多摩線内を折り返す列車をなくす手もあるでしょう。
しかし、これらについては、走行距離が大きく延びてしまうため、あまり現実的ではないかもしれません。

いずれにしても、相互直通運転を行う各社での走行距離調整や、現在のダイヤに組み込めるのかという問題があるでしょうから、文字で書くほど簡単なことではないのだと思います。
やむを得ない状況だとは思いますが、せっかく走っている列車であるからこそ、少しでも使いやすい方向に向かうことを願うばかりです。

おわりに

千代田線との相互直通運転は、それ自体にも難しいところがあり、近年は試行錯誤を繰り返しているようにも感じます。
何かしらの最適解が見つかり、利用者が分散する状況に繋がればベストですが、そう簡単なことではないのでしょうね。