屋根上に様々な機器が並び、賑やかな外見が特徴でもある鉄道車両。
小田急の車両も例外ではなく、現代では必需品となった冷房装置や、架線から電気を取り入れるためのパンタグラフが並んでいます。

屋根上に設置される機器はある程度決まっていますが、1000形や3000形では先頭車だけに見慣れないカバーが見られます。
このカバーはどのような役割を担っているのでしょうか。

一部の車両で見られる屋根上のカバー

1000形と2000形では冷房装置の間に、3000形では前面寄りの位置に冷房装置とは異なるカバーが見られる車両があります。
設置されているのは主に先頭車となっており、冷房装置とは異なる外見をしています。

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上から見るとこのようなもので、冷房装置と比較するとやや小さく、完全に覆われているカバーのような姿が特徴です。
同様のものは西武の車両等でも見られ、屋根上のアクセントにもなっています。

このカバーの正体は、ラジオの放送電波を受信するアンテナで、車内での難聴対策として導入されたものです。
小田急では10000形(HiSE)と1000形が初めて採用し、その後の車両にも標準装備されるようになりました。

車内でラジオを聴いた時代

携帯電話が普及し、スマートフォンが主流になってからは、動画を観たりゲームをするのが当たり前になりました。
しかし、少し前の時代に戻れば、新聞や雑誌を読む、音楽を聴くというのが主流であり、ラジオを聴く人も多くいました。

元々電車内ではラジオが聴きにくいものですが、VVVFインバーター制御等の登場によってノイズが入りやすくなり、その対策が車両側で行われるようになります。
1000形に搭載されたものは、屋根上のアンテナで放送電波を受信し、増幅して車内のアンテナから再送信するものとなっています。

これらの設備は、姿を変えつつ搭載されていくことになりますが、近年は各社で廃止の方向にあるようです。
車内でラジオを聴く人自体が減少したことや、インターネット経由でも聴くことができるようになったからなのでしょうね。

おわりに

時代が変われば車両の設備も変わる、そのような事実が屋根上のアンテナから分かります。
最近では車内のWi-Fiが終了する方向ですが、これもまた時代の変化ということなのでしょう。