50000形(VSE)が定期運行を終了し、ラインナップが少々寂しくなってしまった小田急のロマンスカー。
早すぎる引退に驚かされた記憶が新しいところですが、過去に活躍したロマンスカーについても、長生きをした車両とそうではない車両があります。

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明暗が分かれることが多いロマンスカーですが、長生きをする車両には、どのような共通点があるのでしょうか。

各形式が活躍した期間

鉄道車両の寿命は、一般的に30年から40年程度といわれています。
小田急においてもそのぐらいの年数で引退する車両が多く、リニューアルを行って35年程度で引退するというのが、近年の標準となっていました。

ロマンスカーにおいてもこの法則が当てはまりますが、諸般の事情で短命となった車両もあります。
既に現役を引退したロマンスカーにおいて、登場から引退までの活躍期間をまとめると、以下のとおりとなります。

3000形(SE):35年
3100形(NSE):37年
7000形(LSE):38年
10000形(HiSE):25年
20000形(RSE):23年

HiSEとRSEの活躍期間が短く、25年以下の年数で引退しています。
編成単位ではさらに短いケースもあり、短命のロマンスカーとして記憶に新しいところでしょう。
2023年度にVSEが引退すると、活躍した期間は約18年となり、形式としては最も短命な車両となります。

長生きをするロマンスカーの共通点

短命となったロマンスカーには、それぞれに事情がありました。
HiSEにはバリアフリー化が困難という事情があり、RSEにはHiSEと同じ理由に加えて、ダブルデッカー車が組み込まれていることによる汎用性の低さや、JR東海との相互直通運転に伴う変更が絡んでいます。
完全に引退する日が近いVSEについては、理想を追求したフラグシップならではの特殊性が、結果的に引退を早めてしまいました。

特急に使われる車両は、停車駅が少なく高速で走行するという特性上、走行距離が伸びてしまいます。
未更新の状態で長く使うことは難しく、ある程度の時期に修繕を行うことでロマンスカーは長寿命化を図っていますが、この更新の有無が長期使用の前提となります。

更新を行うべきタイミングでは、するかしないかの判断が求められますが、長生きをした車両に共通しているのは、まとまった編成数があり、活躍時においてオーソドックスな仕様であるということです。
NSEとLSEはこの法則に当てはまっており、更新車が今後も長く活躍しそうな30000形(EXEα)についても同様です。

そして、もう一つの要素としては、長生きをせざるを得ないという背景です。
これにはSEも当てはまり、御殿場線に乗り入れる関係で長期使用になってしまいました。
NSEには、通勤型車両の増備が忙しく、ロマンスカーの置き換えどころではなかったという事情があり、LSEはHiSEやRSEが早期に引退したことで、結果的に長生きせざるを得なくなりました。

これらの過去を考慮すると、EXEαや60000形(MSE)も長生きをする可能性が高くなりますが、どうなるでしょうか。

おわりに

ロマンスカーならではの特殊な構造は減り、近年の車両はオーソドックスな仕様となりつつあります。
特殊性というウィークポイントが少なくなったことから、今後は極端に短命となる車両は誕生しにくくなるかもしれませんね。