都心部の全駅が10両の停車に対応したことで、2019年から各駅停車が10両で走るケースが増えている小田急。
3000形の8両を10両化する対応も行われ、8両で走る列車は減少傾向となっています。

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小田急に在籍する車両の中で、8両固定編成は少数派となりつつありますが、これらの車両は厄介な存在となっているのでしょうか。

減少を続ける小田急の8両固定編成

各駅停車を中心に活躍する8両固定編成は、中間に先頭車を挟まないことで収容力を最大化できるため、1990年代から導入されました。
8両固定編成の導入により、4両を2本繋いだ8両は徐々に減少傾向となり、現在は代走で見られるのみとなっています。

小田急で8両固定編成が最も多かった時期には、1000形で1編成、2000形で9編成、3000形で15編成、合計25編成が活躍していましたが、3000形の10両化で現在の編成数は減少しています。
現在も活躍する8両固定編成は以下のとおりです。

【2000形】
・2051F
・2052F
・2053F
・2054F
・2055F
・2056F
・2057F
・2058F
・2059F

【3000形】
・3651F
・3652F
・3653F
・3654F
・3655F
・3656F
・3657F
・3658F

このように、2000形が9編成、3000形が8編成、合計は17編成となっています。
多くの列車が10両で走るようになった今、8両は少数派となってきており、やや扱いにくい存在となりつつあります。

8両編成は厄介な存在なのか

6両と10両の列車が中心となった小田急では、8両の存在は中途半端となりつつあります。
8両でなければいけない列車はなくなっており、厄介な存在といえなくもないですが、実際のところはどうなのでしょうか。

かつての小田急には、新宿を発着する各駅停車は最大8両という制限がありました。
これは10両の停車に対応していない駅があったためですが、ホームの延長が完了したことで、この制限はなくなっています。

輸送力の差があるため、当然のことながら8両と10両で運用が分かれており、8両は17運用が組まれています。
在籍する編成数と運用数は同一となっており、検査等で車両が足りない場合には、1000形の4両を2編成繋いだ代走が組まれています。

運用が限定されて扱いにくいようにも見える8両ですが、実用上はそこまで困る存在ではありません。
なぜならば、8両の運用は10両で代走しても問題はないほか、逆のパターンも輸送力が劣る程度の差しかないためです。
昔とは異なり、物理的に充当ができない状態ではないため、異常時には臨機応変な対応が可能な状態となっています。
2022年10月6日に発生した踏切事故により、2000形の2057Fが損傷しましたが、それによる車両不足は10両の代走でカバーされることとなりました。

8両がなくなり、全てが10両になれば運用の効率は上がりますが、利用者が減少傾向となっている現状において、それを急ぐ理由はどこにもありません。
将来的には10両に統一される可能性が高いとは思われますが、在籍する8両を組み替えることや、優先して廃車にすることはないと考えられるでしょう。

2000形と3000形は、既に登場から15年以上が経過しており、廃車を検討するタイミングは遠くありません。
そのような時期に手を入れる必然性はほとんどなく、現状を維持したまま引退まで活躍するものと思われます。
8両は異質な存在ではあるものの、早期に減らす必要はなくなっているといえそうです。

おわりに

各駅停車専用車両に近い存在となり、やや使い勝手は悪い小田急の8両固定編成。
置き換えを急がなければいけない理由まではないため、引退の時期まで現在の状況を維持する可能性が高そうですね。