未更新車が全て引退したことで、箱根登山線内を中心に活躍していた、赤い1000形は過去のものとなってしまいました。
通常のカラーリングとは大きく異なるため、小田急の中では人気が高い車両でしたが、現在のところ復活の気配はありません。

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なくなってしまったという事実が寂しい赤い1000形ですが、今後復活する可能性はあるのでしょうか。

消滅したレーティッシュカラーの1000形

小田急が乗り入れを行う箱根登山線内には、車体が大きい車両は入線できない時代がありました。
使用できるのは2400形等の中型車に限定されてしまい、様々な面で課題を抱える状態となっていました。

そのような課題を解消するため、大型車の入線を可能とする箱根登山線内の改良工事が行われ、1982年に箱根湯本行きの急行は6両化されます。
前の6両と後ろの4両という組み合わせが急行では定番化しますが、風祭駅のバリアフリー化や、途中駅での分割併合を解消することを目的として、2008年に箱根登山線内の列車は4両化されてしまいます。

4両化によって、箱根登山線内を走る車両が限定できるようになったことから、2009年にはカラーリングを変更した車両が用意されることとなり、赤い1000形として親しまれるようになりました。
正式にはレーティッシュカラーと呼びますが、赤い1000形という表現がかなり浸透していたように思います。

赤い1000形は最終的に4編成となりましたが、未更新車の廃車によって徐々に数を減らし、2022年に惜しまれつつ最後の1編成が引退しました。
現在はリニューアルされた1000形が箱根登山線内を走りますが、小田急線内を走る編成と外見上の違いはなくなっています。

赤い1000形が復活する可能性を考える

未更新車の引退によって消滅したレーティッシュカラーですが、今後復活する可能性はないのでしょうか。
赤い1000形にとって不幸だったことは、更新車との交代を進める時期がコロナ禍となってしまい、余計な経費を使えるような状態ではなくなってしまったことでした。
コロナ禍という外的要因がなければ、新たに赤い1000形となる編成があったのかもしれませんが、実際の計画がどうなっていたのかは気になるところです。

さて、カラーリングの変更による差別化はされなくなったものの、箱根登山線内を走る編成については、現在も限定される状態となっています。
該当する編成は1063Fから1066Fまでの4編成となっており、番号が連続する編成が選ばれたということなのでしょうか。
更新車が乗り入れを開始した当初は、これらの編成以外が入線した実績もありますが、徐々に編成が絞り込まれていきました。

現在も編成が限定されていることから、赤い1000形を復活させること自体は可能といえます。
カラーリングの変更は、誤乗防止や案内のしやすさを目的としたものだったようですから、外国人を含めた観光客が戻り、小田急自体の収益が改善してくれば、復活の可能性自体は残っているといえそうです。
人気が高く、特別感もあるカラーリングでしたので、条件さえ整えば再び見ることができるのかもしれませんね。

おわりに

小田原に到着すると、ホームの端に赤い車両が停車しているというのが、かつて見られた日常の光景でした。
現在はブルーの帯を巻いた1000形がその場所に停車していますが、箱根の旅への玄関口としては、少し寂しい状況となってしまいました。