ロマンスカーブランドの復権を目的として、2005年に営業運転を開始した小田急の50000形(VSE)。
その後の方向性を決めた車両ともなっており、岡部憲明氏がデザインを担当する流れが続き、統一感のある車両が揃っていきました。

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一方で、多くのこだわりを詰め込んだことは、結果的に更新を困難にさせてしまい、2023年の秋にVSEは引退することとなりました。
あまりにも寂しい引退ですが、そんな車両を生まれ変わらせ、現代版のVSEを登場させるとしたら、どんな車両になるのでしょうか。

勝手に妄想する現代版のVSE

美人薄命とはよく言いますが、VSEはまさにそのような結果になってしまったといえます。
このような悲しい運命に逆らえるとしたら、正統な後継車となる現代版のVSEを造ることではないか、そんなことをふと思いました。
妄想が実現することは難しいと思いますが、あえて考えてみるとしましょう。

まず、見た目の面において、白い車体や前後のシンメトリーは外せないと思われます。
後述する理由により連接車を採用しない場合、現在の小田急では7両にしたいところでしょうが、そうすると前後シンメトリーが実現できなくなるため、ここはあえて6両にしておきましょう。
床下のカバーはVSEらしさを構成する要素ですが、70000形(GSE)でも踏襲されていますので、ここは継続することとします。

ロマンスカーの象徴である前面展望席については、あえてなしの姿を想像してみます。
何らかの変化がなければただのコピーになってしまいますし、違ったスタイルで前面展望が楽しめる車両というのも面白いと考えます。
VSEの価値を高める要素には乗務員の存在があるため、その運転風景が見えるというのもポイントです。

車内については、木のぬくもりが感じられる雰囲気は残し、やはりボールト天井は必須でしょう。
座席が少し外側を向くのも変わらず、素敵なイメージはやはり残したいところです。

技術的な面に関しては、GSEのように無難な構成として、連接車についても見送りたいと思います。
利用者の目線で考えた場合、現代において大切なのはそこではなく、働く方々にも優しい長く走れる車両になってほしいという願いからです。

現代版のVSEはどのように使うべきか

現代版のVSEを考えるにあたって、使い方の部分も想定してみたいと思います。
観光に特化した車両ということは譲れず、運用上の観光要素はさらに高めてしまいましょう。

乗ることによる楽しさ、これを提供するには、やはり車内販売等の復活は必須といえます。
サービス自体を独自のものとして、買ってもらえる仕組みづくりが重要になりそうです。
当然のことながら、それらを実現するために特急料金は通常のロマンスカーより高く設定しますが、完全な限定運用とすることでこれを実現したいと思います。

車両は2編成を用意しますが、定期運用は1編成のみとして、もう片方は繁忙期を中心とした不定期運用とします。
こうすることで検査時等に対応できるようにしつつ、不定期運用の列車を走らせない閑散期には、今行っているようなツアーや貸切列車にも使用することができます。
最近の使われ方が意外と面白いこともあり、こんなことを考えてみました。

おわりに

少々暴走しましたが、これはあくまでも私の妄想です。
真面目に考えてみると意外に面白いものでしたが、皆さまにとっての現代版VSEは、どのような車両となりますでしょうか。