主電動機等を流用し、吊り掛け駆動で登場した小田急4000形。
色々と特徴がある形式ですが、登場から引退までの間に多くの台車を装備しました。
今日はその豊富な台車をご紹介したいと思います。

4000形といえばパイオニア台車と言われるぐらい有名なのが、登場時に装備したPⅢ-706MとPⅢ-706T台車です。
外側にブレーキディスクが付いており、特徴の一つとなっています。

革新的であったこの台車ですが、1800形との併結時に致命的な問題が発覚してしまいます。
特定条件を満たす他の台車を装備した車両と編成を組むと、脱線を起こすというもので、二度の脱線事故を起こして併結は中止されました。

その後、3両編成に中間車2両を追加して5両化することになったのですが、PⅢ-706TをPⅢ-706Mに改造して中間車に流用しました。
台車を提供したクハには、新たにTS-814が装備されました。
さらにややこしいのが、増備される中間車に対してPⅢ-706Tが4両分足りず、これらの車両にはTS-818が装備されています。

この状態で吊り掛け時代を過ごしますが、冷房化と新性能化という大きな転換期が訪れます。
この改造時にパイオニア台車が淘汰されることになります。

具体的には、クハにはTS-814とTS-818が流用され、デハにはTS-826が新たに装備されました。
これで4000形が装備した全ての台車が出揃いました。

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全部で5種類の台車を装備した4000形は、さよなら運転をすることなく静かに消えていきました。
最初から最後までとにかく地味な形式でしたが、面白いエピソードがとにかく多い車両でした。