幼少期のことを思い出すと、私は小田急9000形があまり好きではありませんでした。
小田急顔ばかりの中、特徴的なスタイルをしていたので、走っているのを見る分には良かったのですが、乗るとなるとどうも好きになれない車両。

電車が好きな子供といえば、当然乗りたくなるのは先頭車です。
それこそが嫌いになってしまう原因でした。

9000形は地下鉄直通用の車両として登場したため、乗務員室に沢山の機器を搭載する必要がありました。
そのため、乗務員室は従来車よりも大きくなっており、乗務員扉直後の戸袋窓がなくなりました。

車内に入ると真っ先に感じるのは、全然前が見えないということ。
通常前がよく見える小田急の車両とは異なり、中央に設置されている扉部分からしか前面展望ができなかったのです。
この扉も完全に中央ではなかったので、見やすくはありませんでした。

営団6000系に比べれば、9000形はまだましだったのかもしれません。
しかし、先頭車に乗って前を見たいと待っていて、9000形が入ってきた時の残念な気持ちは、大人になった今でも忘れられません。
だいたいは先客がいて、諦めることになりました。

身の回りでも、9000形が好きではないという声はよく聞かれました。
子供にとっては、どうにも困った存在だったようです。

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多摩線を走る9409Fです。
外から見ても、全く車内が見通せないことがよく分かります。

その後機器の小型化が進み、1000形では助手席側の後ろに窓が設けられました。
初代地下鉄直通車ならではのエピソードですね。