自慢のハイデッカーが原因となり、短命となってしまった小田急のHiSE。
御殿場線直通用のRSEがすぐに登場したため、最新型のロマンスカーでいられた期間が短く、色々と不運な存在でした。

そんなHiSEですが、EXEが登場してしばらく経ってから、ロマンスカーの主役として再抜擢された時期がありました。
小田急ロマンスカーの歴史において、最新型ではないロマンスカーが主役になることは、比較的珍しいことです。

1996年に運行を開始したEXEは、6両と4両を組み合わせた10両で運行されることが最大の特徴で、増加する日常や通勤での利用を加味したものでした。
そのため、それまでのロマンスカーの流れを断ち切り、大胆なイメージチェンジが図られています。

外見は落ち着いたシンプルなものとなり、日常的に利用することを考慮した、飽きのこないものとなっています。
当然小田急ファンからの反発は強く、私自身も登場時は否定的な感情を抱いたのを覚えています。

そんなEXEですが、登場後は新型ロマンスカーとして、各所で主役として扱われました。
ポスター等も当然主役はEXEで、ロマンスカーの顔として扱われたのです。

通勤利用には登場直後からマッチしており、その収容力と快適性が評価されました。
しかし、その設計コンセプトとは裏腹に、箱根特急等にも利用されました。

そのことが小田急に思わぬ悲劇をもたらします。
それは箱根特急の利用者急減で、時代の流れや、需要の変動では到底片付けられるものではなかったのです。

当然原因はEXEにあると考えられました。
会社の帰りに乗る分には快適なロマンスカーですが、観光地に行きたいと思えるロマンスカーではありませんでした。

そこで主役に返り咲いたのがHiSEでした。
各所の宣伝でEXEが出ることはなくなり、HiSEが再び主役の座を奪いました。

VSEが登場するまで、HiSEはその重責を務めました。
その方向転換が吉と出たか凶と出たかは、今の状況を見ればあえて説明するまでもありません。

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HiSEは不運で短い生涯ではありましたが、ロマンスカーのブランドを復活させた功労者でもあったのです。
EXEの反省を活かして登場した後輩たちは、小田急ロマンスカーのブランド価値をさらに高めています。

忘れられがちなHiSEの功績を、今回は取り上げてみました。
そんなHiSEのことが、私は大好きでした。