1964年に登場し、今日の小田急通勤車の基礎となった2600形。
車両限界の許す限り車体を大型化し、激化する当時の通勤需要に対応しました。

小田急に大型車化の流れを作った2600形ですが、現代の車両と比較すると、圧倒的にサービス面で劣る点がありました。
当時は当たり前のことだったのですが、車両に冷房が装備されていなかったのです。

兄弟形式の4000形、続く5000形も非冷房で登場しましたが、5000形の3次車がついに冷房を搭載して登場しました。
こうして訪れた小田急の冷房車時代、大型車で車齢が若かった2600形には、冷房化改造が行われることとなりました。

2600形の冷房化改造は、1972年に開始されました。
屋上に集約分散式の冷房装置であるCU-12Bを5台搭載し、パンタグラフの位置を変更する等大がかりなものでした。

この冷房化改造ですが、1981年までの長期に渡って行われたことで、複雑な仕様差が生じました。

初期に改造されたのは、出場順に2664F、2668F、2671F、2670F、2672F、2666F、2667F、2665Fで、車内の送風装置はサイクルファン、側面に新設された表示装置は種別のみをデカデカと表示するタイプでした。
サイクルファンというのは、天井に扇風機が埋め込まれているようなもので、屋根上に突起があったことから、外見上も容易に見分けることが可能でした。

続く2669Fから一部仕様が変わり、冷房装置がCU-12Cに、送風装置がラインデリアとなりました。
車内だけで見ると、5000形の後期車と似たような雰囲気になっています。
2669F、2662F、2661F、2663Fの順で出場しています。

最も後期のタイプとなるのが、2659F以降の10本です。
このグループでは、側面の表示装置が種別と行先を表示するタイプとなり、外見上の印象がだいぶ変わりました。
2659F、2660F、2651F、2658F、2657F、2656F、2655F、2654F、2653F、2652Fの順で出場し、全22編成の冷房化改造が終わりました。

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2600形は、その後車体修理と呼ばれる更新工事が行われ、その際に後期施行車で妻窓が固定化されました。
これが形態差をさらに増やしてしまい、8両化も行われたことでかなりバリエーションが豊富な形式となってしまいました。

同じ形態をした編成を探すほうが大変だった2600形。
小田急の長期に渡る改造は、今に始まったことでもないようです。