先日開催されたファミリー鉄道展2019で展示され、久々に太陽の下で見ることができた小田急の3000形ことSE。
現在のロマンスカーに繋がることの多くはこの車両で築かれ、歴史的な価値が高い車両です。

さて、そのSEの側面を見ると、急行と書かれたサボがあることに気付きます。
ロマンスカーは今も昔も特急ですが、急行として走ったことがあったのでしょうか。

この時代になると謎に見えてしまう急行のサボは、御殿場線への乗り入れに関係しているものです。
乗り入れはキハ5000形で開始されましたが、小田急線内は特急扱いで走るものの、国鉄線内での種別は準急でした。
そのため、列車種別としては特別準急というややこしいものとなりました。

その後国鉄の準急は廃止され、そのタイミングから御殿場線内は急行として運転されることになり、この際に種別は連絡急行という名称に改められました。
これがSEの側面にある、急行と書かれたサボの正体です。

国鉄がJRになった後も急行として走り続けたSEですが、老朽化には勝てずRSEに交代、その際に御殿場線内も特急となりました。

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特別料金不要の急行がある小田急線に存在したもう一つの急行。
そのややこしい歴史が、SEの側面に現在も残されていたのです。

残された車両は、当時の事実をそのまま教えてくれます。
今回2両が解体されますが、残った車両が末長く大切に保存されることを願っています。