ワイドドア車を含めて、全196両が製造された小田急1000形。
バリエーションが多いことが特徴の形式ですが、その中に時代を先取りしすぎた案内装置が搭載されている編成が存在しました。

現在は撤去されてしまい現存しませんが、その案内装置は2種類ありました。

まずは、ワイドドア車の1552Fから1556Fと、1752Fに搭載されていた液晶画面です。
現在でこそ当たり前となった液晶画面ですが、当時はかなり珍しいもので、現在のように画面は大きくはなく、解像度も高くありませんでした。

登場した当時は未来を感じさせる先進的な装備でしたが、当時の液晶はまだまだ発展途上の機器であり、数年で劣化が目立つ状況となったことから、残念ながら撤去されてしまいました。
その後、側扉の幅を縮小する改造に合わせて、LEDスクロール式の案内装置が設置されました。

続いて、もう一つ先進的な案内装置を装備したのが、唯一の8両である1081Fです。
この編成には、路線図式の案内装置が設置され、停車駅等を光らせて案内していました。

2000形にも搭載されたこの案内装置ですが、メンテナンスにでも問題があったのか、こちらも早々に撤去されてしまいました。
それも当然で、列車種別の増減や、駅の設置時等の度に改造が必要になるため、そもそも最初から無理のある装置だったのです。

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こうして撤去された2種類の案内装置ですが、どちらの装置が持っていた要素も、現在の液晶画面に発展的に盛り込まれています。
技術が未熟な時代に、色々と試行錯誤をしていたことが分かるこれらの装備品は、近年になってようやく普及期に入ったということなのでしょう。