それまでの車両とは多くの部分で異なり、小田急における通勤型車両の転換点となった3000形。
屋根上の冷房装置もその一つで、初めてと言うべきか、ついにと言うべきか、集中式が採用されました。

小田急で通勤型車両に初めて冷房装置が搭載されたのは、2400形のクハ2478を試作で改造したのが最初となっています。
この際に採用されたのが集約分散式という設置方式で、集中式と分散式の中間となるような方式になっており、それぞれのメリットを活かすことを目的としたものです。

メリットとしては、集中式が有利なコストの面を分散式より台数を減らすことで実現。
また、ある程度機器を分散させることで機器故障時の冗長性を確保し、車体の補強も最低限で済むようになりました。
小田急の場合には、ある程度車内が均一に冷えるという面でも、好んで集約分散式を採用していたと何かで見た記憶があります。

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2400形での試験を経て、5000形の3次車から通勤型車両は冷房付きとなりました。
その後、2600形と4000形の冷房化改造、9000形、8000形、1000形、2000形と集約分散式を小田急では採用し続けました。

その方針がついに崩れたのが3000形で、屋根上に大きなカマボコのような冷房装置が設置されました。
ただ、これは小田急に限ったことではなく、同時期に東急や東武も集中式に移行しており、関東の私鉄全般の流れでした。
集中式になったことで、以前のような私鉄らしさというのが薄くなったと、登場時に感じたことを今でもよく覚えています。