2020年3月14日のダイヤ改正において、急行の一部が多摩線内を各駅停車として運転することが発表された小田急の多摩線。
近年はダイヤ改正の度に変更が加えられ、試行錯誤が続いています。

小田急の多摩線といえば、かつては各駅停車が行ったり来たりするだけで、京王の相模原線と比較して本数が少ない路線でした。
その多摩線に変化が生じたのは2000年のことで、東京メトロ千代田線に直通する急行や、ロマンスカーを使用したホームウェイ号の運転が開始されました。

2002年には、多摩線の利便性を高め、沿線価値の向上に貢献した多摩急行が登場し、1時間に2本の
ペースながら、日中にも優等列車が走る路線となりました。
多摩急行が登場した後は沿線もさらに発展し、乗降客数も増加していきました。
2004年には区間準急が加わり、約半数の列車が小田原線に直通する運行形態となっていきます。

優等列車の中心が多摩急行だった多摩線ですが、2016年のダイヤ改正で大きな動きがありました。
JR東日本の常磐緩行線との相互直通運転開始に伴い、日中は20分間隔で急行が走るようになり区間準急は廃止、多摩急行はラッシュ時に見られるのみとなったのです。
ホームウェイ号の多摩線での運転も、この年に消滅しています。

複々線化が完成した2018年にはさらに大きな変化があり、多摩線と地下鉄千代田線系統との直通運転はほぼ消滅し、ラッシュ時には快速急行や通勤急行を運転、日中は急行が走る現在の状況に落ち着きました。

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発表された2020年のダイヤ改正では、平日の夜間に小田原線から多摩線へと直通する急行について、新百合ヶ丘から各駅停車として運転されることが決まりました。
また、土休日については日中の急行を多摩線内で各駅停車として運転し、利便性の向上を図るとのことです。

私は、今回のダイヤ改正は実験的な要素が含まれていると予想しています。
区間準急の廃止以降、多摩線内の駅には利便性での格差が目立つようになりました。
各駅停車と急行における所要時間の差はそこまでないため、本数の差が目立つようになったのです。

優等列車が停車する駅に対して、各駅停車のみが停車する駅はまだ発展する余地があります。
つまり、そういった駅の利便性を高めることで駅の価値を向上させ、開発を後押しする狙いがあるように思うのです。

栗平に優等列車が停車するようになった後の発展は顕著で、五月台や黒川を引き離していきました。
今度はそれらの駅に力を入れていく意向が見えてきます。
多摩線の沿線は戸建てが多いことから、少し不便になったぐらいでは人口減少に繋がることはないでしょう。

ダイヤ改正後の動向次第では、終日多摩線内の急行が各駅停車になる可能性もあるように思います。
快速急行は多摩線内を優等列車として、急行は各駅停車として運転するように整理するかもしれません。
将来的には、京王相模原線の運転形態に近い状態になっていくのかもしれませんね。