小田急のロマンスカーといえば、展望席と連接台車をイメージする方が多いのではないでしょうか。
SEで連接台車、NSEで展望席を採用した小田急では、LSE、HiSEとその流れが続き、ロマンスカーのイメージを作ってきました。

近年の車両では、VSEとGSEが展望席を採用し、子供から大人まで大人気となっています。
それに対して、連接台車はVSEで採用されたのが最後となっており、GSEでは20mの車体に展望席を設けるという、今までにはなかったパターンが登場したのです。
LSEが引退したことで、小田急線上を走る連接車はVSEのみとなり、既に2編成のみの希少な存在となっています。

GSEが連接台車を採用しなかった理由としては、ホームドアとの関連があります。
ドアの位置を固定するためには、20m車に統一するほうが都合が良く、GSEは20mの車体に展望席を設けることになりました。
連接車は構造上の制約で車体を長くすることが難しいため、どうしても1両あたりの長さが短くなってしまいます。

車両の長さが違っていても、ドアの位置を合わせておけばホームドアに対応できそうですが、変な位置にドアが配置されることは避けられず、効率的とはいえません。
乗り心地や曲線通過時のメリットが大きい連接台車ですが、メンテナンスの面ではデメリットもあり、現代においては扱いにくい存在になってきているのでしょう。
JR東日本がE331系の本格的な導入を断念した等、近年は連接車にとって厳しい状況になってきています。

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小田急は、今後の連接車の導入について否定はしていませんが、ホームドアの導入を本格的に始めているため、可能性はかなり低いものと考えられます。
伝統や技術の継承という面では残していきたいものであり、小田急の内部にもそう思う方は沢山いそうですが、現実的には難しくなってきているのだと思います。

VSEについても早期の廃車が噂されるようになってきており、この流れで新しい連接車が登場してきたら、それは奇跡的といえるかもしれません。
小田急最後の連接車がVSEとなってしまうのかどうかは、次の新型ロマンスカーが登場する時に分かるのでしょう。