2200形でアルストムリンク式の台車を採用して以降、通勤型車両では1000形まで採用し続けた小田急。
コイルばねから空気ばねへと進化していきますが、一貫性がなく謎だったのが、踏面ブレーキの基礎制動装置です。

基礎制動装置にはシングル式(片押式)とクラスプ式(抱合式)があります。
これらの方式にはそれぞれに利点がありますが、シングル式は部品の点数が少なくなり、重量や保守の面で有利であるため、現在はシングル式が多く採用されています。
クラスプ式にはシングル式よりも制輪子の減りが遅いというメリットがありますが、電気ブレーキを多用する現代においては、その優位性が失われつつあります。

さて、小田急の話題に戻りましょう。
小田急においては、どちらも採用例があるのですが、形式によって違っており、あまりにも一貫性がないのです。
登場順に見ていきます。

2200系列はシングル式、2400形はクラスプ式、2600形はシングル式、5000形はクラスプ式、9000形はクラスプ式、8000形はシングル式、1000形はクラスプ式となっています。
4000形にも踏面ブレーキの車両がいますが、基本的にはディスクブレーキの車両ということで除外します。

見てみると分かるように、とにかく一貫性がありません。
急行向けの車両がクラスプ式になっている傾向はありますが、8000形と1000形の説明ができなくなります。

20200328_06

このように、低速域まで電気ブレーキが使える1000形が、クラスプ式を採用しているのです。
軽快な車体に対して、台車が大きく目立ちます。

20190811_07

登場当初から急行でもよく使われた8000形は、シングル式の小振りな台車を履いています。
このことから、車両の使われ方で変えていたように思わせつつ、そうではない可能性が高くなります。

明確なことは分かりませんが、色々と調べていくと保守の現場の要望に左右されていた経緯があるようで、それがこのような一貫性のなさを生んでしまったようなのです。
結局決定的なことは分かりませんでしたが、個人的にはクラスプ式のほうが好きということだけを添えて、記事を終わりたいと思います。