優等列車のほとんどが10両で走るようになり、近年は各駅停車も10両化が進んでいる小田急。
1977年のダイヤ改正で急行の10両運転が開始されて以降、40年以上をかけて10両の列車を増やしてきました。

10両編成での運転が始まった頃、それが走れる区間は新宿から本厚木の区間のみでした。
しかも、10両に対応しているのは準急以上の種別が停車する駅のみで、それ以外の駅は6両までしかホームの長さがなかったのです。

そのような状況でスタートしたので、急行は相模大野から本厚木の間で分割併合を行う必要があり、制約の多い10両での運転となっていました。
10両の運転区間はしばらく変わらず、その後は都心部の各停を8両化するための対応が急がれました。

そして、1988年に都心部の各駅と多摩線内が8両に対応した後、いよいよ全線の急行を10両化するための対応が始まります。
急行が停車する駅のみホームが伸ばされ、ラッシュ時を中心に10両で走る急行の区間が広がっていきます。
1995年に秦野まで、1998年には全線において10両での急行が走るようになりました。

ところで、8両化が行われた各停はその後どうなったのかというと、急行の10両化が優先されたことから、各停の10両化は進められなかったのですが、都心部の各駅も複々線化に合わせてホームが延長されており、その準備は水面下で始まっていたのでした。

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優等列車が停車する駅の全てが10両に対応した後は、複々線化の進展に合わせて都心部の駅の10両化が進められました。
そして、2014年には多摩線の全駅が10両に対応、2019年に都心部で最後に10両未対応で残っていた代々木八幡のホームが改良されたことによって、各駅停車の10両化が少しずつ進められています。

2020年現在で10両に対応していないのは、小田原線の末端区間と江ノ島線の優等列車が停車しない駅のみとなりました。
小田急にとっての10両化は、ホームの延長を進める歴史でもあったのです。