小田急小田原線の各停といえば、向ヶ丘遊園行きか本厚木行きというのが昔の定番でした。
それ以外の行先は比較的珍しいものが多く、そういった列車を狙って撮影する楽しさがあったものでした。

そんな小田急の各停に、日常のパターンとして新松田行きが存在していた時期があります。
現在も新松田行き自体はありますが、特定の時間帯にのみ設定されているようなものではなく、当時はかなりの頻度で見ることができたのです。

この各停のパターンは、2002年のダイヤ改正で始まりました。
2002年と聞けば思い出す方も多いと思いますが、湘南急行と多摩急行が登場したのがこの時でした。

ロマンスカーを除くと、当時の優等列車は1時間あたり8本運転されており、急行の箱根湯本行きが4本、湘南急行の藤沢行きが2本、多摩急行の唐木田行きが2本というものでした。
内訳を見れば分かるとおり、相模大野から先に向かう急行は4本しかありませんでした。

1時間に4本だと、平均すれば15分に1本ですが、小田急の優等列車は10分間隔で運転されていましたので、どうしても本厚木から先に20分間列車が来ないタイミングができてしまいます。
そこで、1時間に2本だけ本厚木から先の新松田まで走る各停を設定し、本厚木から新松田までの区間も10分間隔で列車が走るようにしたというわけです。

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このようにして登場した新松田行きの各停ですが、2002年に設定された当初は、全ての列車が6両で運転されていました。
小田急は特定の列車の両数にこだわることが多く、新松田行きの各停もまさにそのケースに該当していたといえます。

その後、2003年のダイヤ改正では8両の列車も走るようになり、2000形等の8両が新松田で多く見られるようになりました。
しかし、車両のバリエーションが増えて楽しくなったのもつかの間で、2004年のダイヤ改正で運転のパターンが見直され、新松田行きの各停が沢山走る時期は終わってしまいました。
走った期間は3年に満たない程度で、かなり短いものでした。

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