ほとんどが10両で運転される小田急の優等列車。
特急を除くと、快速急行、急行、通勤急行、準急、通勤準急のほとんどが10両での運転となっています。

東京メトロ千代田線に直通する準急や通勤準急は、10両に統一する必要がありますが、それ以外の列車もほとんどが10両となっています。
区間運転の列車には現在も6両が少しありますが、8両となると平日の朝ラッシュ時に1往復が設定されているのみで、珍運用の領域となっているのです。
公式見解があるわけではありませんが、なぜ小田急には8両の優等列車がほとんどないのかを考えてみました。

最近はほとんど見られなくなった8両の優等列車ですが、昔は急行や準急でも多く見ることができました。
しかし、まだ多くの各停が6両という時代で、現在とは少し事情が違いました。
2016年に廃止された区間準急は8両でしたが、これは各停に近い存在だったので、これも少々事情が違うといえます。

なぜ小田急は優等列車に8両を使わないのか、それは各停に8両を使いたかったからだと考えられます。
現在は新宿から新松田まで、全ての駅が10両に対応したホームの長さとなりましたが、昔は8両までしか停車できない駅があり、そもそも10両で走らせることができなかったのです。
そのため、各停を少しでも長い編成でとなると、優先的に8両を充当する必要があり、結果として10両を優等列車に使うしかなくなるということです。

小田急は終日混んでいる路線ですが、時間帯によっては優等列車に8両、各停が10両となるタイミングがあっても支障はそこまでありません。
それでも8両を使わなかったというのは、別の部分で支障があると考えられるのです。

加えて、小田急には2両の編成がありません。
4両、6両、8両に2両を繋ぎ、柔軟に車両を使うということができないため、どうしても運用上の制限が生まれてしまうのです。

20200711_02

必然的に8両は各停、10両は優等列車と運用が分かれてしまいますが、例えば8両を間合いで優等列車に入れる場合、運用が乱れた際に問題が生じます。
8両は10両の運用を走ることができますが、逆は各停に10両を充当できないため、明確に分けていたほうが都合が良いのでしょう。

小田原線を10両の各駅停車が走れるようになり、近年は状況が変わりましたが、今度は10両に統一をするという方向性で進んでいるため、8両の母数が減りつつあります。
唯一残っている8両の急行も、そろそろ消える日が近いかもしれませんね。