豆電車の代替路線として開業し、向ヶ丘遊園と向ヶ丘遊園正門の間を結んでいた小田急の向ヶ丘遊園モノレール線。
2両編成の車両が短い区間を往復し、遊園地に入園客を輸送していました。
この短い区間を開業から廃止まで走っていたのが、日本で最後のロッキード式モノレールとなった500形です。

500形は1966年1月20日に竣功した車両で、4月23日の開業日から営業運転を開始しました。
竣功日は1966年となっていますが、実際にこの車両が製造されたのは1962年で、ロッキード式モノレールの試作車として川崎航空機工業で新製されました。

ロッキード式はコンクリート製の軌道上に鉄のレールが敷かれており、その上を鉄の車輪で走行する方式のモノレールでした。
しかし、騒音や保守性の面でデメリットが多かったため、日本以外での採用例はなく、他に姫路モノレールで採用されたのみでした。
姫路モノレールが廃止された後は、向ヶ丘遊園モノレールが世界で唯一のロッキード式モノレールとなっていました。

小田急が豆電車の代替路線を建設する際、採算性が悪いという理由から、建設費を抑えることが優先されました。
そこで、ロッキード式の試験車両を購入し、初期コストを抑えることとしたのです。

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小田急での導入にあたっては、外装をロマンスカーに合わせたものに変更し、客用扉の増設等が行われています。
2400形の廃車後は、小田急で唯一の非冷房車となりましたが、冷房化率の計算からは除外されていました。

開業から大きく姿を変えることなく活躍してきた500形でしたが、2000年2月の定期点検で台車に致命的な損傷が生じていることが分かり、そのまま運行を休止、復活することなく2001年2月1日に廃車となりました。
廃車後は全車が解体されてしまいましたが、1両だけでも保存してほしかったと、今でも思います。