新車の搬入時や保存車両を移動する際、小田急では1000形が牽引車として活躍しています。
普段は乗客を輸送する通勤型車両である1000形が、この時は電気機関車の代役となっているのです。

昔の小田急には、数としては多くないものの、電気機関車が在籍していました。
定期貨物輸送が行われていた時代もありましたが、廃止後は新車の搬入時等が主な活躍の機会となり、徐々に数を減らしていったのです。
そして、1997年にデキ1030形が廃車されたことで、小田急から本線用の電気機関車は消滅しました。

電気機関車が全車廃車となった後は、9000形が牽引車としての役目を担うこととなりました。
9000形の4両は全車が電動車だったことから、牽引車として適任だったのでしょう。

2006年に9000形が引退した後は、1000形が牽引車としての役目を引き継ぎ、様々な車両を運んできました。
低速で鈍い音を出しながら走る姿は、普段とは少し違った表情を見せてくれます。

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長い間牽引車としての役目を担ってきた1000形ですが、近年になって色々と変化が出てきました。
2014年度から開始されたリニューアル、1081Fで発生した廃車、徐々に未更新車が減っているのです。

牽引車の役目は未更新車が担っており、更新車は使われていません。
未更新車がそのうち消滅することは間違いないため、そこからの牽引車がどうなるのかが気になるところです。

1000形の更新車は4両と10両に整理されるでしょうし、それ以外の形式だと8000形と3000形にしか4両や6両は存在しません。
8000形の先はそこまで長くないでしょうから、1000形の4両か、3000形の6両が有力な候補になりそうです。
数年後には、1000形の未更新車が牽引する光景は見られなくなってしまうかもしれませんね。