小田急で初めてオールステンレスの車体を採用し、1988年に営業運転を開始した1000形。
平成初期という小田急にとって過渡期となる時代に増備され、様々な仕様変更や改良が行われながら、合計196両が製造されました。

近年はリニューアルが進み、これからも長く活躍しそうな雰囲気でしたが、1081Fに廃車が発生したことで、先輩である8000形よりも先に廃車となる編成が今後もありそうです。
車体は老朽化していないはずの1000形が、なぜこのようなことになってしまうのか、それには1000形特有の弱点が関係していると考えられます。

前述のとおり、1000形は製造の過程で多くの仕様変更や改良が行われました。
大きな違いだけでも、東京メトロ千代田線直通装備の有無、ワイドドア車の登場、4両から10両までの多彩な編成バリエーション等があり、それぞれの数はそこまで多くありません。
効率化が進められる現代において、これが1000形にとって最大の弱点となってしまい、運用や整備の効率が悪い部分が目立ってきてしまったのでしょう。

そこで、小田急ではワイドドア車となっている36両は廃車、残りは4両と10両に整理することで、効率を良くしようと考えました。
しかし、先頭車を中間車化する過程で問題があったのか、この方針は変更された可能性が高い状況です。
弱点を克服することができなくなった1000形は、先輩である8000形と比較して使い勝手が悪い車両となってしまいました。

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1本だけの存在であった8両はあまりにも中途半端な存在となり、4本しか存在しなくなった6両も残すメリットはありません。
4両についても、現在の運用では過剰な本数となってしまいます。

近年重視されるようになった効率性という観点から見ると、1000形に廃車が発生してしまうのは仕方がないことだといえます。
しかし、過渡期の小田急を柔軟な仕様変更で支えたという功績は、決して忘れることができないものです。

残る編成と残らない編成で運命が分かれてしまいそうな1000形。
もう長くはないと思われる未更新車の活躍を、これからも見守っていきたいと思います。