自社で発注した通勤型車両としては、初めての大型車となった小田急2600形。
同時に拡幅車体を採用し、車体幅も最大化したことで、当時の私鉄車両としてはかなり大きな車両となりました。

このように車体の大きさが注目される2600形ですが、他にも小田急では初めて本格的に採用されたものがありました。
それが今では当たり前となっている空気ばね台車です。

小田急で空気ばね台車が初めて採用されたのは、2200形の最終増備車となる2217Fでした。
ベローズ式の空気ばねを用いた、FS-321という台車を履いて登場しましたが、試験的にこの2両のみに採用されたものです。
2200形の後継形式である2400形は、コイルばね台車を引き続き採用しており、すぐに空気ばね台車が本格的に採用されたわけではありませんでした。

小田急が本格的に空気ばね台車を採用したのは、1963年に登場した3100形(NSE)からで、ロマンスカーからの採用でした。
そして、翌年に登場した2600形から、通勤型車両も本格的に空気ばね台車を採用していくこととなるのです。

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ミンデンドイツ式の台車だったNSEに対し、2600形では小田急でお馴染みとなるアルストムリンク式が採用され、その流れが1000形まで続きました。
4000形や2600形のVVVFインバーター制御に改造された車両等の例外はありますが、小田急といえばアルストムリンク式の空気ばね台車というのが、少し前までは当たり前のことでした。

その後、1995年に登場した2000形でモノリンク式のボルスタレス台車が採用され、それまでの流れが途絶えています。
空気ばね台車が当たり前となった現在では、そうじゃない時代があったことが信じられませんね。