東京メトロ千代田線への乗り入れ用車両として、2007年に登場した小田急4000形。
JR東日本のE233系をベースとした車両で、10両固定の貫通編成となっています。

小田急で過去に登場した乗り入れ用の車両は、いきなり地下鉄に入ることはなく、まずは地上である程度使われてから直通運用に充当されてきました。
4000形はその慣例を踏襲せず、最初から直通運用に充当され、多摩急行を中心として活躍を開始します。
昔と比べて、最初から車両が安定しているというのも理由の一つかもしれませんが、当時の小田急が抱えていた事情と、4000形の車両特性がそうせざるを得ない状況を生み出していました。

当時の小田急は、箱根登山線に急行の乗り入れを行っている関係で、途中駅で分割併合を行う列車が多く設定されていました。
10両の列車はほとんどが4両と6両を繋いだ編成で、10両固定編成は1000形に4編成しかありませんでした。

10両固定編成で登場した4000形は、分割併合を伴う運用には充当することができず、登場時は運用上の制約が多い車両となっていました。
結果として自社線内で慣らし運転をするわけにもいかず、最初から千代田線に乗り入れることとなりました。

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このような状況だったため、新宿に入線することは稀で、準急や多摩急行以外で見かけることも少ない車両でした。

4000形に大きな変化があったのは2008年のダイヤ改正で、分割併合を伴う運用が大幅に削減され、多くの列車が10両のまま全線を走り通すようになりました。
10両固定編成の4000形は、このダイヤ改正以降活躍の場が広がり、急行や快速急行で走る姿が日常的となっていきます。
新宿に入線する機会も増えましたが、このダイヤ改正を境にブランドマークが掲出されたため、掲出前の姿での入線は貴重な記録となっています。

10両固定編成が当たり前となった現在からは、こんな時期があったというのが信じられませんね。