複々線の完成後、東京メトロ千代田線との直通列車のみとなった小田急の準急。
千代田線が代々木上原で小田急の緩行線と繋がっているため、それが影響していると考えられます。

今回は小田急の準急について、現状で抱えている問題や、何か改善する余地はないのかを考えてみたいと思います。

現在の準急が抱えている問題

現在小田急で運転されている準急は、全ての列車が千代田線と直通運転を行っており、複々線区間では緩行線を走行しています。
これは、代々木上原で緩行線と千代田線の線路が直接繋がっているため、急行線との相互支障を避ける等、ダイヤ乱れの際の影響を最小限にする目的があると考えられます。
複々線区間の千代田線方面への利用が多いとされており、それ自体は事実だとして、対外的に理解を得るための表向きの理由だと思われます。

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そして、準急は運転される区間が短いことが特徴でもあり、ラッシュ時以外は基本的に向ヶ丘遊園での折り返しとなっています。
一般的には、上位の種別であるほど運転区間は長くなるものですが、各駅停車と準急で逆になっています。
終点付近ではかなり空いている状態となっており、少々もったいない印象の列車です。

運転される区間が短い理由

公式に発表されているわけではありませんが、登戸から先が複線となっていることや、東京メトロ、JR東日本の車両との走行距離が関係しているといわれています。
どちらも簡単に解決できる問題ではなく、向ヶ丘遊園で折り返している事情にも納得できます。

前者については、この複線区間の運行本数が現状でもかなり多く、増発が厳しいという事情があります。
急行と快速急行が全て10分間隔となったことで、運転される本数は昔より増えており、ダイヤ上は増発が可能でも、開かずの踏切の問題等も考慮しなくてはいけないのでしょう。

後者については、小田急の車両を千代田線と常磐緩行線内で折り返し運転させることや、小田急の車両による運用を増やすことで解消できそうですが、そう簡単でもないのでしょう。

何か改善する余地はないのか

私が考える一番の問題点は、せっかくの相互直通運転を活かせていないという点です。
乗り換えなしで千代田線方面に行ける駅がかなり少なく、利便性という面では昔より悪くなってしまったように感じています。

そこで私が考えたのは、準急の多摩線方面への延長です。
相模大野や本厚木方面も良いのですが、その場合には列車の本数や走行距離の問題が絡んできます。
多摩線方面に延長し、線内折り返しの各駅停車をその分削減すれば、比較的効率が良い運転ができそうに思いました。
そして、急行も多摩線内を各駅停車に変更すれば、多摩線内の日中は線内折り返しの列車自体をなくすこともできそうです。

準急の運転区間を延長するため、各駅停車は一部を向ヶ丘遊園での折り返しに変更する必要があります。
そうした場合、新百合ヶ丘から先の各駅停車が足りなくなってしまうため、これをどうするかというのが一番の問題です。
新百合ヶ丘と本厚木の間で各駅停車の折り返し運転をするといった方法や、急行を新百合ヶ丘から相模大野までの区間で各駅停車にする等が考えられますが、どちらも強引な感じがします。
上りの各駅停車は、現在新百合ヶ丘での緩急接続をしていないため、意外とできそうな気もしますが、どうしても小田原線方面の利便性が低下してしまいます。

結局のところ、私のような素人では最適解を見つけることができませんでした。
向ヶ丘遊園から新百合ヶ丘の区間が、かなりのボトルネックとなっていることが改めて分かります。

おわりに

こういったダイヤ上の問題点を解消するのは、本当に難しいのだと痛感させられます。
以前よりスピードアップは図られたものの、どこか不便になってしまった印象のある現状を解消する方法はあるのでしょうか。

そのうち大きなダイヤ改正があるのでしょうから、そんな日を楽しみに待ちたいと思います。