小田急ファンにとって、2007年は忘れられない年ではないでしょうか。
更新時に塗装が変更されていたLSEが、1編成だけ旧塗装に戻されることが発表されたのです。

今回は、衝撃的だったLSEの旧塗装化と、それに翻弄されることとなったその後の展開をまとめたいと思います。

ロマンスカーの就役50周年とLSEの旧塗装化

1996年から行われたリニューアルで、LSEの塗装はHiSEに準じたものへと変更されました。
1998年には全ての編成のリニューアルが完了し、1999年にゆめ70以外のNSEが引退したことで、SEから続いた伝統的なロマンスカーの塗装は過去のものとなりました。

それ以降、保存車両でしか見ることができなくなった旧塗装でしたが、2007年5月24日に小田急からLSEを旧塗装に変更して運行するとの発表が行われます。
これはSEが営業運転を開始してから50周年となることを記念したもので、LSEの1編成を旧塗装に戻し、2008年3月31日まで運転するというものでした。
結果としては引退まで旧塗装が走ることになるのですが、発表された時点では期間限定での復活予定だったのです。

20180331_02

こうして1編成だけ旧塗装のLSEが復活し、2007年6月18日に試運転が行われました。
私は社会人としてまだまだ若手だった頃ですが、午前休を取得して撮影に行ったことを覚えています。
復活した当初のLSEは、窓枠が新塗装と同様の黒いままとなっており、元々の姿とは少し違った新しいイメージとなりました。

LSEの旧塗装車を追いかける日々

運転される期間が1年近くあるとはいえ、当時社会人の若手として忙しかった私にとって、その時間はあまりにも短いものでした。
のんびりはしていられないということで、撮影はLSEの旧塗装が中心となっていきます。

20190104_05

この頃は現在のように簡単にはどこを走っているのかが分からず、撮影しながら見つけるといった状況でした。
LSE自体が沢山走っていたため、旧塗装が来る確率自体が低く、回数を重ねるしかなかったのです。
一度見つければその後は簡単なので、撮影自体がLSEの旧塗装を中心として行われることとなります。

20181111_04

そして、撮影者を悩ませることとなったのが、小田原方の愛称幕の故障です。
復活してからしばらくすると、この写真のように特急の表示で固定される状態となってしまい、下り列車の撮影は少しつまらないものとなってしまいました。
これはこれで貴重なのですが、常にこの表示を出すようになってしまうと困ってしまうものです。

20180310_01

2007年はファミリー鉄道展も豪華なものとなりました。
引退したSEやNSEとLSEの旧塗装が並べられ、さらに運行開始前のMSEまで展示されたのです。
この時に人が集まりすぎてしまい、翌年以降の展示に影響してしまうほどでした。

20180616_05

小田原方の愛称幕はその後修理され、無事に正しい愛称を表示するようになりました。
スーパーはこね号に充当される機会は数えるほどしかなかったため、わざわざ仕事を休んで撮影に行きました。

年末から年明けにかけては、5000形の6両が4両に短縮され、MSEの試運転が開始されたりといったことが重なり、小田急ファンにとっては忙しい時期となりました。

20201107_01

旧塗装の運行終了が近付いた2008年3月15日に、MSEの運行が開始されます。
MSEが旧塗装と並ぶ期間は約2週間ですから、このような写真はとても貴重な記録となるはずでした。

旧塗装で走り続けることとなったLSE

必死にLSEの旧塗装を追いかけた小田急ファンでしたが、その後の展開は意外なものでした。
2008年4月1日以降もLSEは旧塗装のまま走り続けることとなったのです。
小田急からの正式な発表はなかったように記憶していますが、あまりにも好評だったからなのか、そのままの塗装で走り続けることとなりました。

20180204_05

それからは来たら撮るぐらいになり、自分のペースで撮影ができるようになりました。
あの忙しかった日々は何だったんだろうと思ったのも正直なところです。

その後、しばらくは1編成だけが旧塗装で走り続けることとなりますが、2012年にLSEを旧塗装に統一し、1編成を廃車することが発表されます。

20180804_01

こうしてLSEは旧塗装に統一され、2編成が2018年まで走り続けることとなります。
この時に窓枠は登場時と同じ銀色に戻され、1編成の時には見られなかった並びも日常となりました。
新塗装のほうが、結果的には早く消滅することとなってしまったのです。

おわりに

期間限定の予定で復活した旧塗装は、あまりにも好評だったことでそのまま運転されるという結果になりました。
最終的には旧塗装に統一されることとなり、新塗装が先に消滅するという皮肉な結果も招いています。
必死になって追いかけた意味があまりなくなってしまいましたが、その後も楽しめたという点では良かったのかもしれませんね。