1000両を超える車両が在籍する小田急では、通勤型車両とロマンスカーで日々の輸送を支えています。
近年は1形式あたりの製造両数が通勤型車両は多く、ロマンスカーは少ない傾向となっていますが、具体的には過去と比較してどのような違いがあるのでしょうか。

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今回は通勤型車両とロマンスカーに分けて、過去から現在までの製造両数の推移を見てみたいと思います。

通勤型車両の形式別製造両数

まずは通勤型車両を見ていこうと思いますが、昔は形式数が多く、編入や改番も相次いでいることから、今回はまとまった数の製造が行われるようになり、大きな改造が登場後にされていない2400形以降の形式を対象とします。
早速ですが、形式別の製造両数を登場順で一覧にしてみましょう。

2400形:116両
2600形:132両
4000形:92両
5000形:180両
9000形:90両
8000形:160両
1000形:196両
2000形:72両
3000形:346両
4000形(2代目):160両
5000形(2代目):40両(現在も製造中)

各形式の製造両数は、まとめるとこのようになります。
3000形が突出して多いことと、2000形が少ないことが目立ちます。

昔と今の大きな違いとしては、製造が継続的か断続的かという点を挙げることができます。
常に通勤型車両を製造して置き換えていた昔に対して、現在は短期間にまとめて車両の置き換えを行う傾向があります。
この傾向は昭和の終わり頃から強くなっていますが、当時は短期間で新形式を登場させていたため、製造両数としてはそこまで多くなっていません。

2000形の少なさについては色々な理由が考えられますが、複々線化工事の遅れや、長引く不況で車両の置き換えが積極的に行われなかったためでしょう。
その反動が3000形の製造両数に反映され、古い車両を一気に置き換える必要性から、それまでの小田急では考えられなかったような両数が製造されることとなっています。

そして、気になるのは5000形の製造両数がどうなるのかということです。
最近の傾向を前提にすれば、3000形に匹敵するぐらいの両数となることが予想されますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今後の設備投資は抑制されるでしょうから、予想がしにくい状況となっています。

ロマンスカーの形式別製造両数

次にロマンスカーの製造両数を見ていきましょう。
こちらは分かりやすいですが、3000形以降の形式を対象とします。

3000形:32両
3100形:77両
7000形:44両
10000形:44両
20000形:14両
30000形:70両
50000形:20両
60000形:42両
70000形:14両

ロマンスカーの場合は、1両あたりの長さに違いが大きいため、両数だけで単純な比較はできません。
昔と今の違いとして大きいのが、主とする用途によって形式を分けるようになったという点です。

日常利用を重視した30000形の登場からこの傾向となっており、30000形と60000形は日常利用が主体なので製造両数が多く、50000形と70000形は観光利用を主体としているため製造両数が少なくなっています。
用途によって形式を分ける傾向が続くのか、どこかのタイミングで昔のように戻るのか、今後についても気になるところです。

おわりに

しばらくは5000形の増備が続きそうな小田急ですが、どれぐらいの両数が製造されるのかは読みにくい状況となっています。
来年度に導入される両数が分かれば、ある程度は予測ができるようになりそうですね。