急行の10両化を進めるため、1978年に登場した小田急5000形の6両編成。
約4年間で120両が製造され、大型車の10両を増やすことが、いかに急務だったのかが分かります。

6両の5000形は、短期間で集中的に製造された割には、編成ごとの仕様差が多いことが特徴ですが、4次車には試験的に貫通路保護装置が設置され、異彩を放ちました。

4次車で試験的に採用された貫通路保護装置

1979年に製造された4次車は、試験的に貫通路保護装置を設置して登場しました。
該当する編成としては、5256F、5257F、5258Fの3編成です。

20180728_03

これらの3編成には、合計で6種類の貫通路保護装置が設置されており、それぞれで形態が異なっていました。
車両間を繋ぐ貫通幌の内側に設置されており、乗客の保護を目的としたものです。
後にこれらは全て撤去され、見ることはできなくなっています。

全編成に設置された改良型の貫通路保護装置

全編成から撤去された貫通路保護装置は、その後改良型が登場し、順次各編成に設置されていきました。
比較的目立つ大きなもので、貫通幌に乗客が寄りかかるのを防止するために設置されたのでしょう。
設置は一気に行われたわけではなく、少しずつ進んでいった記憶があり、しばらくは編成によってあったりなかったりという状態でした。

最終的には、20編成全てに設置が行われていますが、他の形式に波及することはありませんでした。
大型車で広幅の貫通路を採用していたのは、他に2600形、4000形、5000形の4両、9000形がありましたが、どの車両にも類似のものを含め設置されませんでした。
5000形の6両にだけこの装置は設置されており、その理由は現在も謎のままです。

おわりに

のんびりと設置が進められ、6両の全編成に設置された貫通路保護装置。
他形式には全く波及せず、5000形の6両のみに設置された独自の装備品となりました。
色々考えてみても、これらの編成にだけ設置された理由はよく分からず、5000形の謎として現在も残っています。