はこね、さがみ等、列車の愛称を車両の前面に表示してきた小田急のロマンスカー。
古くは愛称が書かれたサボを掲出していましたが、NSEが登場した際にアクリル板を交換する電照式のものが採用され、自動幕式、LED式と変化してきました。

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近年は前面に愛称を表示しない車両が増加しており、以前よりは見かける機会が減っている状況です。
小田急ロマンスカーの前面から愛称表示は消えてしまうのか、現状を整理しつつ考えてみたいと思います。

前面に愛称表示がないロマンスカー

1963年に登場したNSEから、ロマンスカーの前面には愛称表示器が設けられるようになりました。
NSEにはアクリル板を交換する電照式のものが採用され、折り返しの際には線路に下りて交換する光景が見られました。
その後、国鉄(現在のJR東海)の御殿場線に乗り入れるために改造されたSEにも、同様のものが採用されています。

1980年に登場したLSEからは自動幕式となり、車体修理の際にNSEも同様のものに改造されました。
この流れは意外と長くは続かず、愛称表示が前面にないロマンスカーとして、HiSEが1987年に登場します。
愛称表示器は先頭車の側面に移され、それまでの車両とはだいぶ印象が異なるロマンスカーとなりました。

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HiSEに続いて登場したRSEでは、再び前面の愛称表示が復活し、新たにLED式が採用されました。
RSEからは側面にも表示器が設置されるようになり、乗客への案内が強化されています。
LED式を採用する流れはそのまま続き、EXEでも前面に愛称表示器が設けられ、途中駅で分割する列車では二つの愛称を表示するようになっています。

しかし、復活した前面の愛称表示は、VSEで再びなくなってしまいます。
その後はMSEで復活していますが、GSEではまたしてもなくなってしまい、近年はあったりなかったりといった状況が続いています。

前面の愛称表示は今後どうなるのか

形式によってあったりなかったりする前面の愛称表示は、今後どうなっていくのでしょうか。
関東の他社に目を向けてみると、最近の車両でも愛称表示が前面にあるのが西武、ないのが京成、東武で、JR東日本もない車両が増えています。

さて、小田急が今後どうなっていくのかを考えるにあたって、重要なヒントになるのがEXEαの存在です。
LED式の愛称表示器を設けたEXEは、リニューアルをしてEXEαとする際に、愛称表示器を撤去してしまいました。

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つまり、現役のロマンスカーで全編成が前面に愛称表示器を設けているのは、MSEのみとなっているのです。
最近のロマンスカーでは、MSEのみが小さいながらも愛称表示器を前面に設けているということになりますが、これにはMSE特有の事情があると思われます。
東京メトロ千代田線に乗り入れるMSEは、地下鉄線内で前面に愛称と運行番号を交互に表示しますが、この運行番号のために設けられていると考えられるのです。

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最近の小田急は、撮影者を減らすために試運転を回送表示で走らせているぐらいですから、前面に愛称を表示する必要性はそもそも高くなさそうです。
次に登場するロマンスカーが答え合わせになるのでしょうが、今後は基本的に設けない方針というのが正解なのではないでしょうか。

おわりに

前面に愛称が表示されていないロマンスカーは、どうしても撮影の楽しみが半減してしまいます。
しかし、乗客への案内は側面にあれば十分ですから、前面に設ける必要性はほとんどなくなってしまっているのでしょうね。