10区の終盤で逆転し、駒澤大学が総合優勝した2021年の箱根駅伝。
テレビに映る小田急の車両が毎年話題となりますが、昔は箱根駅伝に合わせて小田急が臨時列車を走らせていた時期がありました。

今回は、2004年から2007年まで運転されていた、箱根駅伝応援号についてご紹介します。

箱根駅伝のスタートとゴールを観戦できる列車

箱根駅伝応援号は、小田急、箱根登山鉄道、東京メトロ(営団地下鉄)の3社を直通運転していた臨時列車です。
1月2日と1月3日の2日間に運転され、箱根駅伝の往路と復路に合わせた運転時刻となっていました。

2日に運転される往路は、大手町から10両で出発し、相模大野で後ろの4両を切り離します。
前の6両はそのまま箱根湯本へと向かい、後ろの4両は藤沢へと向かいました。

3日に運転される復路は、箱根湯本から6両で出発し、相模大野で前に4両を増結します。
10両となった列車は千代田線に直通運転し、綾瀬まで走っていました。

年によって停車駅等が多少異なりますが、基本的にはこのようなパターンとなっていました。
2004年から2007年までの4年間しか運転されませんでしたが、正月のイベントに合わせた面白い列車でした。

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途中駅での分割併合が伴うため、1000形の4両と6両を連結した編成が使われ、前面にはヘッドマークも掲出されました。
この時期は小田急と千代田線を直通運転する臨時列車が多く設定されており、箱根駅伝応援号もその中の一つです。

箱根駅伝応援号は、連絡バスに乗り継げるようにダイヤが組まれており、スタートを見送った後に列車を使って移動すると、ゴールに先回りができるようになっていました。

箱根駅伝応援号はなぜ運転されなくなってしまったのか

小田急と千代田線を直通運転する臨時列車は、乗車率が低いものが多かったと記憶していますが、箱根駅伝応援号は途中駅からの乗車も含めて比較的好評だったと記憶しています。
しかし、残念ながら2007年を最後に運転されなくなってしまい、現在に至ります。

これには箱根駅伝応援号特有の事情が絡んでおり、それが運転されなくなってしまった理由です。
箱根登山線に乗り入れる関係で、箱根駅伝応援号には分割併合が可能な編成を充当する必要がありました。
2007年に4000形が登場したことで、1000形の4両と6両を連結した編成は千代田線への乗り入れから撤退したため、2008年以降は運転したくてもできなくなってしまったのです。
こうして箱根駅伝応援号は静かに運転を終了し、過去の列車となってしまいました。

おわりに

MSEを使えば現在でも運転できそうな列車ですが、復活することなく時が流れています。
箱根駅伝を盛り上げる面白い列車でしたが、定期列車に乗っても間に合うことを考えると、そこまでして走らせる理由がなかったのかもしれませんね。