2001年に登場し、現在までに全346両が製造された小田急3000形。
初期車と後期車で足回りが異なっている3000形ですが、後期車の中にも、他の編成と主電動機が違う編成があります。

今回の記事では、どの編成の主電動機が異なっているのか、どのような経緯でそのような違いが生まれたのかをまとめたいと思います。

3000形に搭載されている3種類の主電動機

3000形には3種類の主電動機が採用されており、編成によって搭載されているものが異なります。
編成内では統一されているのが、小田急らしいところです。

主電動機の内訳は以下のとおりです。

・MB-5092-A
・MB-5102-A
・MB-5123-A

MB-5092-Aは3251Fから3262Fまでの初期車に搭載されたもので、このグループでしか採用されていない比較的少数派の主電動機です。
走行音が特徴的であり、3000形の中では目立つ存在でもあります。

MB-5102-Aは、3次車以降の後期車に搭載されたもので、3000形の中では最も多い主電動機です。
6両の8000形でリニューアルを行った編成の多くにも、同じ主電動機が搭載されています。
3000形では後に主電動機の交換を行った編成があり、登場時とは異なるものを搭載している場合があります。

MB-5123-Aは全密閉式の主電動機で、一部の編成が搭載している珍しいものです。
主電動機自体は4000形と同じものとなっており、8000形のリニューアルで後期に採用されたものも同様です。

20210116_02

小田急で主電動機の種類が複数ある形式は、リニューアルに伴う交換を除くとあまり多くなく、3000形の特徴の一つとなっています。
そして、これらの違いは主電動機の交換によって発生した経緯があり、やや複雑なのです。

主電動機の違いが生まれた経緯

元々は2次車までと3次車以降の編成での違いしかありませんでしたが、後に一部の編成の交換が発生したことで、編成によって主電動機が異なるようになりました。

まず、2006年に3265Fの主電動機が、MB-5102-AからMB-5123-Aに交換されます。
4000形が登場する前に、走行音の低減を目的とした試験を行うための交換でした。
取り外したMB-5102-Aは、10両化のために増備された中間車に転用されています。

2009年には3263Fの主電動機が、MB-5102-AからMB-5123-Aに交換されました。
取り外したMB-5102-Aは、8000形のリニューアルに転用されています。

2011年には3664Fと3665Fの主電動機が、MB-5102-AからMB-5123-Aに交換されました。
これは断定ができませんが、交換された時期から考えた場合、取り外したMB-5102-Aは10両化のために増備された中間車に転用されているのでしょう。
3090番台の10両を組む際に増備された中間電動車は10両ですから、3265Fの3両分、3664Fと3665Fで8両分となり、計算としては合います。

そして、2018年にも主電動機の交換が行われました。
3663Fを10両化して3083Fとする際に、MB-5102-AからMB-5123-Aへの交換が行われているのです。
取り外したMB-5102-Aは、3084Fから3087Fの中間増備車に転用されていると考えられます。

各主電動機を搭載する編成を整理すると、以下のとおりとなります。

MB-5092-A:3251F~3262F
MB-5102-A:3084F~3087F・3091F~3095F・3264F・3266F~3277F・3651F~3658F
MB-5123-A:3081F~3083F・3263F・3265F

組み替えによって主電動機の交換が発生し、編成によって異なる状態が生まれることとなりました。

おわりに

組み替えをしたことが、主電動機の違いを生む原因となっていますが、編成内で統一するようにしているのが小田急らしいですね。
乗車する際には、組み替えの経緯を思い出してみるのも楽しいかもしれません。