1999年に定期運用を終了し、2000年までにゆめ70を含む全ての編成が廃車となった小田急のNSE。
2021年4月のオープンが予定されているロマンスカーミュージアムには、保存されている3両が展示される予定となっています。

保存車を深夜に輸送する際は大盛況となったNSEですが、引退間際は大盛況だったものの、晩年のイメージは沢山走っている古いロマンスカーでした。
今回はそんな思い出を振り返ります。

晩年のNSEに抱いていたイメージ

JR東海の御殿場線に直通運転をしていたSEが1992年に引退し、NSEは小田急で最古参の車両となりました。
同時期に登場した2600形も元気に走っていましたが、5000形まで同じデザインが採用され続けたこともあり、NSEのほうがかなり古く感じられました。

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SEが引退し、EXEが登場するまでのロマンスカーは、以下のような形式で構成されていました。

3100形(NSE):7編成
7000形(LSE):4編成
10000形(HiSE):4編成
20000形(RSE):2編成

RSEは他の車両と使われ方が違うということもあり、ロマンスカーのイメージリーダーはHiSEが担っていました。
塗装が異なるHiSEとRSEは目立ち、当時まだ幼かった私にはとても輝いて見えたものです。

一方で、NSEとLSEは塗装がほぼ同じで、合わせて11編成も在籍していたことから、やたらと見かけるロマンスカーという印象でした。
NSEの編成数は特に多かったことから、LSEとの比較もあり、沢山走っている古いロマンスカーというイメージだったのです。

古いものの良さが分かるようになってからは、NSEに対する印象は大きく変化しましたが、ごちゃごちゃした屋根上、出っ張った前照灯を古くさく感じ、興味の対象からは外れていました。
今となっては贅沢な話ですが、同年代の方であれば同じような経験がある方もいるのではないでしょうか。

廃車が進む中で変わっていったNSEのイメージ

ロマンスカーの最大勢力として活躍してきたNSEでしたが、SEの引退から4年後の1996年から廃車が始まりました。
NSEの置き換え用として登場したロマンスカーは、展望席を廃止し、最大で10両を組むことができるEXEでした。

EXEの登場は衝撃的ではあったものの、それはそれで新鮮だったこともあり、登場当初はロマンスカーのバリエーションが増えたことを楽しんでいました。
過渡期は在籍する車両の種類が増えるため、楽しいのは今も昔も変わりません。
しかし、1997年までに3編成が廃車となり、同時に1編成がゆめ70に改造されると、徐々にNSEのイメージが変わり始めます。

この時点で、ゆめ70を除くNSEは3編成となり、4編成が在籍するEXEに勢力で逆転されてしまいます。
やたらと見かけるロマンスカーだったNSEは、あまり見かけないロマンスカーへと変わってしまったのです。
1999年には、EXEが一気に3編成登場することとなり、同時にゆめ70以外のNSEが引退することが発表されました。
引退が迫ると、ほとんど鳴らす機会がなくなっていた補助警報が鳴らされるようになり、沿線も盛り上がりました。

私自身もNSEの良さに気付きますが、時すでに遅しでした。
大量に走る車両であるほど、引退の時の衝撃は大きいのかもしれません。

引退後に私の中でのNSEのイメージは完全に変化し、小田急ロマンスカーの基礎となった車両として、その良さが分かるようになりました。

おわりに

引退が迫ることによって、良さに気付かされるというのは、今も昔も変わらないのかもしれません。
だからこそ、普段の姿を記録することや、日常の光景をしっかりと記憶に焼き付けることが大切なのかもしれませんね。